ゴーンのツケはいまだ回収できず…日産が「ホンダ主導の統合」を余儀なくされたワケ
この日産役員の陣容を見ると、いかにも人数が多いし、複雑化しているのではないか。 内田体制の取締役陣の変更で注目されたのが、23年6月に退任した、豊田正和氏とアシュワニ・グプタCOOだが、それ以外で話題になるような大きな交代は起きていない。むしろ、グプタ氏の退任以来、COO職が空席となっており、内田社長の権限が強まっているとの見方もある。 また、副社長クラスの在任が長くなり過ぎていることも指摘される。坂本副社長は14年4月就任、星野副社長は15年4月に専務日本営業担当だったが、19年5月副社長グローバル・マーケティング担当に就任している。ついでに指摘しておけば、取締役12人の中で在任最長が、18年6月に就任した社外取の元レーサーの井原慶子氏で、6年以上経過している。同氏はゴーン元会長が招へいしたとされる。 日産の現状からの再建には、まず経営不振の責任を明確にすることと人材の停滞の打開が必要といえよう。 ルノーとの長い資本提携関係を経て“外資企業”となった日産だが、ダイバーシティとはいえ経営の中枢に外国人や外部人材が多くなり過ぎている点も気になる。日産プロパーの人材も積極的に登用していくことが期待され、ホンダとの統合路線で生き抜くためにも日産社内の“プライド”を取り戻して統合協議を進めて欲しい。 (佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)
佃 義夫