ゴーンのツケはいまだ回収できず…日産が「ホンダ主導の統合」を余儀なくされたワケ
ここまでは“合格点”かに見えた。しかし、その後一転して業績が急転落した。25年3月期の中間決算は、営業利益329億円(前年同期比90%減)、純利益192億円(同94%減)と大幅減益に陥ったのだ。通期の純利益見通しは未定としており、これは実質的に自動車事業の赤字転落を示すもの。内田社長は、要因として中国の市場変調と米国での収益不振を挙げている。 その結果、先述した生産能力の削減や人員の削減といった大リストラに追い込まれた。この構図は、内田体制が始まったときと重なるようだ。当時は、ゴーン拡大路線のツケの回収として、量から質への販売転換、コスト大幅削減などに着手したが、経営状態は結局「元のもくあみ」となってしまったのだ。 また、就任直後の内田社長は、経営責任として「役員報酬の大幅削減に取り組む」と表明していた。業績連動報酬についてCEOとCOOは全額辞退のほか、上半期期間にCEOの基本給を50%減額などを打ち出した。今年11月にも、内田社長は報酬50%返上を表明しているが、これも、当時の経営難の時と重なるように聞こえる。ただし、内田社長の報酬は直近で6億5700万円もあり、半額でも3億2850万円という怨嗟(えんさ)の声が話題になってしまったが。 さて、話をホンダとの統合に戻そう。 こうした日産の急転落から、ルノーのスナール会長が取締役にいる日産の取締役会は、少なくとも単独での日産再生は難しいと判断したようだ。これが、日産がホンダなどとの提携に活路を見いだしている理由にほかならない。 一方、日産だけでなく、ホンダにも一定の事情がありそうだ。 ホンダは、三部体制になってから「変革」をキーワードに「ホンダ第2の創業」を宣言して電動化に大きくかじを切り、過去の“自前主義”から“提携拡大”路線に切り替えている。 だが、大きな提携・協業相手だった米ゼネラルモーターズ(GM)とは、量産BEV(バッテリーEV)共同開発を凍結したほか、自動運転タクシーの共同開発も中止し、現在は燃料電池システムの共同生産だけにとどまるなど、軌道に乗らない。GMは、むしろホンダから韓国・現代自との提携強化へ乗り換える姿勢をにおわせている。