ゴーンのツケはいまだ回収できず…日産が「ホンダ主導の統合」を余儀なくされたワケ
● 経営責任は明確化せず 経営陣の滞留が課題か さて、日産は12月11日、経営の中枢であるEC(エグゼクティブ・コミッティ)の担当替えを25年1月1日付で行うと発表した。 それによると、現在CFO(最高財務責任者)のスティーブン・マー氏を中国マネジメントコミッティ(MC)議長に充て、中国事業担当とする。CFOの後任には、アメリカズMC議長のジェレミー・パパン氏が回る。新たなアメリカズMC議長には、日産からステランティスのECメンバーやジープのCEOに転じていたクリスチャン・ムニエ氏が日産に復帰し就任する。 CBCO(チーフブランド&カスタマーオフィサー)兼日本-アセアンMC議長の星野朝子副社長は、日本-アセアン地域担当を離れる(ただし、CBCOには留任する)。後任には、山﨑庄平中国MC議長が就任する。 また、それに先立ちAMIEO(アフリカ・中東、インド、欧州・オセアニア)MC議長のギョーム・カルティエ氏が担当を拡大し、CPO(チーフ・パフォーマンス・オフィサー)に就任することも発表された。 要約すると、内田社長は当面続投するということ、重責であるCFOや日産の主要地域である北米・中国・日本の各事業担当は、“席替え”程度の変更で、業績不振打開に臨むということだ。 果たして、内田社長をはじめとしてECメンバーや副社長クラスが業績不振やブランド毀損(きそん)の責任を取らずに、申し訳程度の担当替えだけで自浄能力があるといえるのか。疑問に思えるのは筆者だけではないだろう。 ここで、浮き彫りになったのが日産の経営陣容の多さと、人材が滞留している体質だ。 まず、現在の日産の取締役の陣容は12人で、うち独立社外取締役が8人、ほか取締役4人(日産2人、ルノー2人)だ。このうち、日産の社内取締役は、内田社長と坂本秀行副社長(生産事業担当)の2人だ。 さらに、執行役に目を向けると、内田社長に加え、星野氏、中畔邦雄氏、坂本氏ら3副社長と、マー氏の5人体制となっている。また、経営中枢として別に、各事業担当に責任を持つECがあるが、これは内田社長を含め12人が就任している。加えて、ECより下には、執行役員として専務と常務とフェローが合わせて40人以上いる。これが日産役員の全陣容だ。