「レベル4」までに必ず避難 「避難指示」に一本化……新しい警戒レベルとは?
警戒レベルごとに「住民が取るべき行動」とは
警戒レベルごとの「住民が取るべき行動」は次の通りです。 【レベル1】 災害への心構えを高める 【レベル2(相当)】 ハザードマップなどで自宅や周辺の危険度を再確認し、避難場所までの安全な経路を考えておく。 【レベル3(相当)】(高齢者等避難) ◎対応する防災気象情報…(河川の氾濫警戒情報、大雨警報(土砂災害)、高潮警報に切り替える可能性に言及する高潮注意報など) 土砂災害の恐れがある場所や、川の水があふれるなどして浸水の恐れがある場所に住む人は避難準備が整い次第、避難を開始する。高齢者など避難に時間がかかる人はこの段階で速やかに避難する。 【レベル4(相当)】(避難指示) ◎対応する防災気象情報…(河川の氾濫危険情報、土砂災害警戒情報、高潮警報、高潮特別警報など) 危険な区域の外にある少しでも安全な場所に速やかに避難する。大雨などがその後も続くと、道路が冠水したり、土砂崩れなどが起こったりして、屋外で行動すること自体が困難になる恐れがあるので、そうなる前に避難を完了しておく。 【レベル5(相当)】(緊急安全確保) ◎対応する防災気象情報…(河川の氾濫発生情報、大雨特別警報、高潮氾濫発生情報など) この段階まで待たず、レベル4までに避難を完了しておくことが求められるが、万が一危険な区域からまだ避難できていない人は、「命を守る最善の行動」を取る。すでに何らかの災害が発生していて、避難場所に移動するといった一般的な避難行動がむしろ危険な場合もあるため、状況に応じて「斜面と反対側の部屋に移動する」「屋根の上に移動する」など「最善の行動」をとる必要がある。 また、それぞれのレベルには、一目でわかるように色が設定されています。レベル1は白、レベル2は黄、レベル3は赤、レベル4は紫、そしてもっとも危険度の高いレベル5は黒になっています。
いつ災害が起きてもおかしくない「紫色のレベル4」
それでは、私たちはこの警戒レベルを避難行動にどのように活用すればよいのでしょうか。 レベル1と2については、ほとんどメディアが報じることはありません。自分の住んでいる地域は大雨が降った時に何らかの災害が起こる可能性がある場所なのか。あるとしたら避難が必要なのか。避難が必要だとしたら、どこに避難すればよいのか。普段からこうしたことを確認しておけば、取り立ててレベルを気にする必要はないでしょう。 自分の地域の大雨による災害のリスクを確認したうえで、土砂災害や浸水などの災害が想定され、何らかの身の安全を確保する行動が必要な地域に住む人はレベル3から行動を開始しましょう。 寝たきりの高齢者や、車いすなどがなければ自力で移動することが困難な人などは「赤色のレベル3」を確認したら速やかに避難を開始する。それ以外の人でも、特に土砂災害や浸水の危険度が高い地域に住む人は避難の準備を整え、すぐに行動できるようにしておきます。さらに、そのほかの人であっても、普段通りの行動を見合わせることなどが必要になります。 「紫色のレベル4」を確認したら、危険な場所にいる人は全員、その場所から離れることが大切です。この段階になると、雨の降り方によっては、いつ警戒レベルが上がる、つまり災害が発生しても不思議ではありません。「まだレベル5になっていないから」などと考えていたら、土砂によって道がふさがれたり、道路が水浸しになったりして、避難場所に行こうにも「どこにも動けない」ということになりかねません。 まだ危険な区域から避難できていないのに「黒色のレベル5」を確認してしまった――。本来であれば、こうした事態だけは避けたいところですが、やむを得ず、こうした状況に陥った場合は、とにかく命を守る最善の行動を考えましょう。例えば、斜面や崖の近くの家にいて、安全な避難場所に行く手段がない場合、家の中でも斜面や崖からできるだけ離れた家の2階にいるようにすることなどが考えられます。 どの警戒レベルに対応した行動を取るにしても、すべては自分の住む場所の大雨による災害リスクを知っていることが大前提になります。住んでいる地域が土砂災害警戒区域や浸水想定区域などに入っていないか、あらかじめハザードマップなどで確認しておくことが大切です。ただし、一つ注意が必要な点があります。大きな河川に比べて中小河川の浸水想定区域などはまだまだ調査が進んでいません。このため、実際には浸水のリスクがあっても、ハザードマップに表示がないケースがあることが考えられます。日ごろから自分が住む場所の土地の高低などの災害リスクを意識しておくことも重要です。