コンビニのおにぎりが無くなる!? 和食の危機と希望
鈴木 ちなみに、各社使ってる昆布が違って、A社は種類を明記していません。B社は日高昆布。C社は一番危機的な状況の真昆布を使っています。これも、今後の状況しだいで、そのうち表記が変わるかもしれません。
【ツナ】欧米需要、急増中!
鈴木 次はツナ。こちらも各社パッケージの表記に特徴があり、A社は「ツナ」、B社とC社は、「シーチキン」と書かれています。 「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社の商標です。つまりA社以外は、はごろもフーズのツナを使っているということです。ちなみに原料を見ると、カツオとマグロと書かれているため、おにぎりに使われているシーチキンは、カツオとマグロのブレンドだと分かります。「シーチキン」ブランド、強いですね(笑)。 ── この違いも、意識したことがなかったです。 鈴木 日本で売られているツナ缶は、主にキハダマグロとカツオ、それからビンチョウマグロ(正式名称:ビンナガ)から作られています。ビンチョウマグロの缶詰は高価なので、コンビニのおにぎりで使われているのは見たことがありません。カツオが一番手頃な価格で、安いツナ缶の中身はカツオです。
鈴木 日本ではカツオとマグロを明確に区別しますが、英語圏ではふたつまとめてツナと呼ばれています。最近は肉より魚の方が健康や環境にいいという認識が広がり、欧米圏で需要が増えて高値で買われるため、日本が買えない傾向にあります。さらに円安の影響もあって、ツナが手に入りにくくなっているのではと思います。 カツオやマグロは、広く回遊しているため国際管理されています。太平洋の場合は、「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」という機関が、カツオがどのぐらいいて、どれぐらいなら獲っても大丈夫なのかを評価し、各国はその調査結果に基づいてカツオを獲っています。 この調査結果によれば、カツオもキハダもまだまだ十分にたくさんいると考えられています。でも、需要の高まりから漁獲量は増え続けており、少しずつ減っていると報告されています。現場の漁師さんと話すと、「獲れなくなっている」という方が多いですね。 いま、太平洋でのカツオ・マグロ類の多くは、インドネシアや韓国、台湾などの船によって巻き網(大きな網で囲い込み獲る漁法)で獲っているようです。 おにぎりのツナの原料になるカツオは熱帯海域でとられるものがほとんどなので、直接の関係は薄いかもしれませんが、日本近海でカツオがとれなくなってきていることは気がかりです。カツオは熱帯海域の生き物で、3~4月くらいに、赤道直下あたりから群れの一部が日本近海にやって来る。これを「初鰹」と呼びます。さらに、そのまま黒潮に乗って三陸沖まで上がり、秋にまた南へ戻るんですが、その脂の乗ったカツオを「戻り鰹」と呼んでいるんですね。