コンビニのおにぎりが無くなる!? 和食の危機と希望
── 先ほどの国際管理されている資源は無くならない、という話と繋がりますね。
コンビニは日本食文化の救世主?
── コンビニのおにぎりから、こんなにたくさん、厳しい現状から希望もある話まで伺えるとは、思っていませんでした。 鈴木 そうですね。僕も初め、気候変動を切り口におにぎりの具の現状を探ろうと思っていましたが、気候変動に加えて、社会的な背景や漁業の歴史や現状など、いろんな要因があるんだなと改めて気づきました。 あと今回、コンビニのおにぎりの消費量も調べましたが、日本人は一人当たり、年間で17個以上食べているみたいなんです。僕自身は、もっと食べている気がします。ここまで手頃におにぎりが食べられるのは、価格を保ちながら具をどうやって調達するかとか、どうやっておにぎりをプロモーションするかとか、コンビニ各社の企業努力があってこそだと思います。本当にすごいなと思いましたね。 ── そもそもコンビニのおにぎりを100円台で食べられること自体、いろんな人たちの努力と工夫で成り立っているんだとよく分かりました。 鈴木 そうなんですよね。しかも、もしコンビニのおにぎりがなかったら、おにぎりというもの自体、日本人があんまり食べなくなっていたかもしれないと思うんです。 鈴木 コンビニのおにぎりは、1970年代から販売されていますが、外食が進んだり食べるものが変化したりする中で、パンや麺が主流になって、おにぎりがマイナーなものになっていった可能性もあります。でも、昆布の佃煮や梅干し、おかかなどの和食が今でも身近なのは、コンビニのおかげなのかもしれないなって思ったんです。 ── 確かに、自炊をしない人でも、コンビニのおにぎりは食べていますよね。和食を知るきっかけの一つに、コンビニがなっていると言えるのかも。 鈴木 そういう意味でも、コンビニが和食の救世主の一翼を担っているような気がしますね。 とはいえ「コンビニのおにぎりは無くならないから大丈夫」というわけでもありません。例えば昆布。価格を抑える工夫を続ければ、今と大きく変わらない価格のまま、コンビニで昆布のおにぎりが食べられるかもしれません。けれど本当に質の良い昆布は獲れず、和食の料理人の方々には届かなくなるかもしれない。つまり、和食の屋台骨みたいなものが崩れつつあるんです。 ですからコンビニのおにぎりを食べるときは、ちょっとだけ、おにぎりの向こう側に、思いを馳せてみてほしいです。昆布や鮭のおにぎりを買って食べ比べするのも、おもしろいですよ。その昆布が日高昆布なのか真昆布なのか、もしくはブレンドなのか。鮭はベニザケなのか、アトランティックサーモンなのか、シロザケの鮭フレークなのか......とか。 ── 次に、コンビニでおにぎりを買う時はパッケージの表記から具材まで、じっくり見てみます!