コンビニのおにぎりが無くなる!? 和食の危機と希望
鈴木 スーパーで売られている生のカツオは、一本釣りによってとられるものが多いですが、その漁獲高は年々減っています。熱帯域でまき網(大きな網で囲い込み獲る漁法)で獲る量が増えてきて、群れ全体が小さくなっているために、日本に来るカツオが減っているという指摘もあります。 ── うーん......厳しいですね。
【たらこ・明太子】科学的な資源管理により、サステナブルな具材
鈴木 そういう意味で、たらこ・明太子は、今回紹介する具材の中で、一番サステナブルだと言えます。日本で食べられているたらこ・明太子はほぼ、ロシアとアメリカからの輸入です。そしてロシア産の68%、アメリカ産の100%を日本が輸入しています。 ── 世界で獲れるたらこや明太子のほとんどを、日本人が食べているということですか? 鈴木 そうなんです。ツナや鮭は他の国の需要が増えているから価格が上がっていますが、たらこは、他に需要のある国がないから、あまり変動しないんです。白身魚の値段が高騰したら影響を受けるかもしれませんが。 ── ちなみに、たらこや明太子って、卵じゃないですか。たくさん食べすぎて、次世代がいなくなる、という危険性はないんですか? 鈴木 漁自体が科学的にしっかり管理されているから、いなくなることは今のところないと思います。 たらこ・明太子は、スケトウダラという、世界で一番獲れる白身魚の卵です。身は白身魚フライとか、ちくわやかまぼこなどの練り製品の原料にもなります。 ── とても身近な魚なんですね。
鈴木 これはアラスカのスケトウダラの漁の様子ですが、5階建のビルくらい大きな漁船を使っていて、この漁船の中に加工場があるんです。船が着岸するときには、もう段ボールに梱包されたスケトウダラの加工品が出荷される、というレベルです。 ── 効率化が徹底されている。 鈴木 しかも、漁獲量も少ない数に設定されています。アラスカの漁業では、100いるうちの10くらいしか獲りません。次の世代がしっかり育つように法律で決められている。だから、いなくならないんですよ。