なぜバルセロナは無冠に終わったのか…次期監督確実視クーマンへの期待とは?
迎えた今年1月。実施時期をシーズン開幕前からリーグ戦の折り返し直後に、出場クラブ数を倍の4に増やしてサウジアラビアで開催されたスーペルコパ・デ・エスパーニャ準決勝で、アトレティコ・マドリードに喫した逆転負けとともに、バルセロナを取り巻く状況が大きく変わった。 クラブは指揮を執って3シーズン目を迎えていた、エルネスト・バルベルデ監督を解任。ラス・パルマスやレアル・ベティスを率いた経験をもつセティエン監督を招聘した。レアル・マドリードと並ぶ首位でラ・リーガ1部を折り返し、チャンピオンズリーグでもベスト16へ進出していたなかでの指揮官交代に、スポーツディレクターのエリック・アビダル氏はメディアの前でこう発言している。 「(前体制に)満足していなかったからか、多くの選手たちがハードワークしようとしていなかった」 クラブ幹部が公の場で残した言葉に対して、堪忍袋の緒が切れたかのように激怒したのがメッシだった。自身のインスタグラムにアビダル・スポーツディレクターの発言を報じる記事をキャプチャした上で、バルセロナの象徴を担ってきたキャプテンは「誰かを批判するにしても、チーム全員を貶めるような発言は慎むべきではないのか」と、溜め続けたストレスを文字に変換している。 「僕の意見を率直に言わせてもらう。チームが上手くいかないこともある。そのとき、幹部はチームの方針や意思決定に対して、責任をもつべきなのではないのか。そもそもこれ(アビダル・スポーツディレクターの発言)はゴシップのような話であり、真実とは異なっている。本当に心外だ」 意を決したメッシの投稿を境に、バルセロナの内側でうごめいていた危機が表面化した。加えて、レアル・マドリードに勝ち点で2ポイント差をつける首位で、3月中旬から突入した新型コロナウイルスによる長期中断期間に、選手たちをさらに困惑させる事態がピッチの外で発生した。 ヨーロッパでも猛威をふるった新型コロナウイルスの影響によって、経済的な打撃を受けたのはバルセロナも例外ではなかった。クラブスタッフへ支払われる給与を全額保証するために、選手たちは3月下旬に給与総額の実に70%を削減する要請を受け入れることでクラブ側と合意している。