国内プロ最長身…FC東京・22歳の超大型キーパー波多野豪が”完封”Jデビュー!
身体を投げ出したい衝動をギリギリでこらえた。反対側のポスト寄りにポジションを取り、身長198cm体重97kgの突出したサイズをできるだけ相手に見せつけた。J1デビューを果たしたFC東京のホープ、22歳のGK波多野豪のとっさの判断が開始早々の前半11分に訪れたピンチを防いだ。 「ビッグセーブと言われると、そうでもないと思いますけど。たまたまポジションをよく取ったら、相手選手が僕のいる正面に蹴ってくれて、それがたまたま当たった感じになりました」 敵地ヤンマースタジアム長居に乗り込み、スコアレスドローでセレッソ大阪と勝ち点1ずつを分け合った9日の明治安田生命J1リーグ第9節。試合後に謙遜した波多野のブロックがなければ、前節まで3戦連続で相手に先制点を許していたFC東京は、またもや負のスパイラルに陥っていたはずだ。 自陣からのロングフィードをFC東京陣内の左タッチライン際で受けたセレッソのキャプテン、MF清武弘嗣がボールをキープしながら時間を作る。切り返してから右足であげたクロスの標的は、FC東京のゴール前に詰めていた2トップ、ブルーノ・メンデスと奧埜博亮ではなかった。 クロスの落下点がファーサイドだと気がついた波多野が、反対側のポスト寄りにステップした瞬間だった。長い距離をトップスピードで駆け上がってきた、MF坂元達裕の姿が視界に飛び込んでくる。危機を察知して必死に追走してきた、FW永井謙佑が韋駄天ぶりを発揮してもわずかに届かない。 スピードに乗った体勢から、落ちてくるボールに坂元が利き足の左足を合わせる。完璧なタイミングに映ったボレー。万事休すか、と思われた直後に、シュートは波多野の右太ももに当たってコーナーキックになった。刹那に生じたわずかな誤算を、坂元は試合後にこう明かした。 「とにかくダフらないように、(ボールに左足を)当てるということだけを意識していたんですけど。シュートが対角に行かずに、真ん中へ行ってしまった」 おそらくは坂元の視界にも波多野の身体がより大きく映る形で飛び込んできて、結果としてコースを狙う余裕を奪ったのだろう。FC東京U-18から昇格して4年目で手にしたJ1リーグ戦初先発。試合前には先輩選手たちから「緊張しているのか?」とイジられ続けた波多野は、ピッチに入場するとともに平常心を取り戻し、坂元のシュートを阻止して波に乗れたと笑顔で振り返った。