「息子は自分のからだの大切さを知っている」――幼稚園の性教育、子どもの学びと親の衝撃 #性のギモン
「幼稚園で性教育を受けた」という人は、どのくらいいるだろうか。世界に目を向けると、例えばオランダでは4歳から性教育が義務づけられている。日本でも、早くから教えている幼稚園がある。どんな内容で、子どもと保護者はどう感じているのか、先生にはどんな思いがあるのか。子どもたちが学ぶ様子と保護者、先生を取材した。(取材・文:岡本耀/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「他人のからだはことわりなく触ったらダメ」
私立和光学園は、幼稚園から大学までの総合学園だ。東京・世田谷区にある和光幼稚園では、2016年度から5歳児が各20分間、全3回の「からだのはなし」を通して性について学ぶ。26人の園児を前に1回目はまず、先生が「赤ちゃんの時にはできなかったけれど、今はできるようになったこと」を聞く。「野菜が食べられるようになった」などと園児。 次に、「自分のからだを触ってみよう」と促す。気持ちよかったり、くすぐったかったり。先生が絵本『からだっていいな』(山本直英・片山健 著、童心社)を読み聞かせる。そして「他人のからだは何も言わないで触ったらダメだけど、自分のからだはいいよ」と伝える。 2回目は、男の子と女の子の違いについて考える。先生が赤ちゃんの人形を2体取り出す。まず「どうしたら男の子か女の子かわかるかな?」と園児に聞く。そして「服を脱いでもらっていいですか?」と人形に聞いてから服を脱がす。わざわざ人形に聞くのは、1回目で学んだ「他人のからだは何も言わないで触ったらダメ」を踏まえてのことだ。人形の性器の形で男女がわかる。次に先生は絵本『あっ!そうなんだ! わたしのからだ』を見せて、「ここは<男の子の性器><女の子の性器>と呼ぶんだよ」と教える。
「いつもパンツをはいているのはなぜ?」と聞くと……
3回目は「ふれあい」の話から始まる。先生が「先生と握手してもいい子は?」と呼びかけ、手を挙げた園児と握手をして「どんな感じ?」と聞く。園児は「うれしい気持ち」「恥ずかしい」などと言う。先生は「からだが触れ合ってイヤだなと思うことがある?」ということもあわせて聞く。 その後、男の子と女の子で違っているからだの部分の名前を聞く。園児たちからすぐに「性器!」の声。難しいかと思われたこの名称も、ちゃんと覚えている。続いて先生が絵本『あっ!そうなんだ! わたしのからだ』を見せながら「いつもパンツをはいているのはなぜ?」と聞くと、園児たちから「性器を守るため!」という声。先生は「口や胸、パンツで隠しているところはプライベートパーツというんだよ」「自分だけが見たり触ったりしていいところだよ」と伝える。そして病院やトイレなど、服やパンツを脱ぐ必要がある時について話す。 次に「友だちがみんなの前でパンツを脱いだら?」「イヤだよね」と絵本を見ながら個別の場面について伝えていく。「知らない人に公園のトイレを教えてって言われたら?」と先生が言うと、園児たちからは「助けてーって言う」という声があがる。絵を示して「お膝の上に乗せてプライベートパーツを触ろうとしてるよ」と先生が言うと、「やめてって言うんだよ」と園児。先生は「イヤなことがあったら逃げて、大人の人に話してね」と伝える。