〈兵庫県知事選〉斎藤氏、大逆転のなぜ「あんたらマスコミが一番わかってるでしょう」カギはYouTubeとあの政策に? 最後の演説会ではあわや大事故の場面も
兵庫県の斎藤元彦前知事(47)の失職に伴う出直し知事選が11月17日に行われ、再出馬した斎藤氏が当初の劣勢を跳ね返し大逆転で当選した。パワハラ、公金不正支出疑惑などが告発されたことを発端に、県議会議員86人の全会一致による不信任決議案が可決された斎藤氏。再選を実現させた有権者は何を考えたのか―。 〈画像〉斎藤氏の演説に人が集まりすぎて、あわや崩落の危機となった空中廊下
「倫理的に問題がある内容なので、元県民局長Aさんは信用できない」
17日、地元紙が開票開始と同時の午後8時に斎藤氏が当選確実だと報じると、神戸の繁華街、元町の一角にある斎藤氏の選挙事務所前はお祭り騒ぎになった。 「大型選挙では同種の事例を探すのが難しい大逆転です。3月に当時の斎藤知事らの疑惑を告発した元県民局長・Aさん(60)が公益通報者保護法違反の疑いが指摘される懲戒処分を受けた後自死したことに絡み、県議会は9月に斎藤知事の告発への対応は不適切で県政を混乱させたとして議員全員による完全な不信任を突きつけ、斎藤氏は再出馬するため失職を選びました。 そこで自民党県議の多数派と立憲民主党系の県民会議の県議らが推したのが稲村和美・前尼崎市長(52)です。連合の支援も取り付け、四面楚歌に見える斎藤氏とは比較にならない組織力をまといました。疑惑が連日ワイドショーで報じられ知名度が抜群だったことを除いては悪材料しかなった斎藤氏が、稲村氏に勝てると考えた人は当初、ほとんどいなかったでしょう」(県関係者) 実際、県政界筋によれば、世論調査で稲村氏は最大で15ポイント以上、選挙公示後の11月上旬にも10ポイントの差を斎藤氏につけていた。 「楽勝、のはずでした。ところが11月9日ごろには差は3ポイント前後に縮まり、情勢の大変動が起きました。そして実は13日ごろには逆転されていました」(稲村氏を支援する自民党筋) 結果、ふたを開けると斎藤氏は約111万4000票で、約97万6000票の稲村氏に快勝。投票率は55.65%と、斎藤氏が前回当選した2021年より14.55ポイントも増えた。何が起きたのか。 「ネット空間で完全に出遅れました。まず、斎藤氏を告発したAさんの県公用パソコンに入っていた個人情報の“内容”とするものが流布されました。これが倫理的に問題がある内容なのでAさんは信用できない、との空気がつくられ、『疑惑は嘘で、斎藤知事は陥れられた』と考える人が爆発的に増えました。 斎藤氏を応援すると言って出馬したNHK党党首、立花孝志氏がAさんに絡むことを街頭演説で話し、この動画がYouTubeで拡散したことも効きました」(稲村陣営関係者)