「湯船という小船で、人生の大海原へ」──風呂場から考える“おうち性教育”、山田ルイ53世の反省 #性のギモン
「性」「正」「聖」いやいや「生」
「性教育」なんてものには縁のなかった筆者。 両親との性にまつわる会話など、隠し持っていた成人向けの雑誌をとがめられ、「そんなに(女性の裸を)見たけりゃ、オカンの見せたるわ!」と吊るし上げられたのが唯一である。 あれは、教育というより……罰だった。 話を戻そう。 「『コウノトリが』とかファンタジックな伝え方が間違っている、 必ず“ペニスが上を向いて腟の中に射精する”って教えないとダメだと言ってるわけじゃなくて。とにかく、科学的で、人権を大切にしたアプローチが必要だと思います」 突如ただよい始めた“まとめ”の気配に、子どもに面と向かって聞かれたら、きっと動揺してしまうと大急ぎで筆者が指南を仰ぐと、「ギョッとしたときの対策としては、『あ、いい質問だね』とか。『すごい、よく気付いたね』『聞いてくれてありがとう』とまず受け止めて褒めましょう」と時間稼ぎも一つの手だとのこと。 「『セックスって何?』って聞かれたときも『その言葉どこで知ったの?』ってフラットに対応すると、『友達が言ってて……』とか、何か返ってくるかもしれない。あとは“オウム返し”でもいいので、子どもの疑問を否定せずに受け止めましょう」とのアドバイスを、「オウム返し?」とうっかりオウム返ししてしまったのはご愛嬌として、「『あ、友達が言ってたんだー』で終わってもいいし、『大事なことだから、今度また一緒に考えようね』と次の機会につなげてもいい。大人がドギマギしてる姿を等身大に見せてもいいからコミュニケーションを大切にして、自分の意見を伝えて、子どものも聞く。そういう関係性がいいかな……」と締め括る遠見先生に、肩の荷を少し降ろせたような気がした。 「性」教育を、「正」教育でなければと力んだり、「聖」教育だとタブー視するのはもう卒業。 肝心なのは生きていく上での羅針盤……「生」教育だと心に誓いつつ、そう遠くない未来、湯船という小船で、人生の大海原へ一人で漕ぎ出すであろう次女(3歳)の頭をシャカシャカ洗う、そんな毎日である。
--- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の1つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。
山田ルイ53世