宇宙に広がっている謎の「ナノヘルツ重力波」の存在。衝撃の観測報告と「時空の歪み」を生み出した源とは?【宇宙誕生の痕跡に迫る!】
周波数と波長はどのように表される?
これについての詳しい解説は他の記事で書くことにしますが、ここで簡単に波の長さを感じてもらえればと思います。 まず、波長とは波が1回振動するあいだの長さを指します。次に、1秒間に何回振動するのかをあらわすものが周波数です。図1の場合は、波長1メートル、周波数は1秒間に3回振動していますので3ヘルツ(Hz)となります、ヘルツは周波数の基本単位です。 チーム・ナノグラブが存在を報告した重力波は、ナノヘルツという単位であらわされます。このナノヘルツとはなんでしょうか。聞き慣れない言葉ですが、本書では頻繁に登場します。ただ知っている方でも、ナノヘルツと聞くと違和感を覚える人が多いかもしれません。 まず、周波数1ヘルツとは、1秒間に1回振動することです。電気料金のことが気になる昨今ですが、東日本と西日本では交流電気の周波数が異なります。東日本では50ヘルツ、西日本では60ヘルツです。これは東日本では1秒間に50回、西日本では60回、振動することをあらわしています。 ちなみに、明治時代に日本における電気事業が興ったとき、関東では50ヘルツの発電機をドイツから輸入し、関西では60ヘルツの発電機を米国から輸入したことが原因で、その違いが現在に至いたったといわれています。 次に、周波数が1キロヘルツ(kHz)とは、1秒間に1000回振動することです。オーディオマニアの方なら、「このスピーカーで再現できる音の帯域は10ヘルツから10キロヘルツまでだ」などの言い回しを聞いたことがあるでしょう。 もちろん、振動数の小さな10ヘルツは低音側の振動数で、大きな振動数である10キロヘルツは高音側を指します。我々の耳で聴き取れる音の振動数は、おおよそこのあたりの帯域だといわれています。 単位で用いるキロは、数の単位「千」のことですから、10キロヘルツ=1万ヘルツです。つまり、1秒間に1万回振動することです。さらに、キロを1000倍したものがメガとなり100万をあらわします。パソコンの演算処理速度を表示する単位として、メガヘルツが用いられます。 さらに、その1000倍のギガヘルツも、高速のインターネット通信などにおける表示にて日常生活で見かけるようになりました。1ギガヘルツは、1秒間に10億回の振動をすることです。 キロ、メガ、ギガのような呼び方を「接頭語」といいます。
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