それでも、この「地球」を「水の惑星」と言えますか…じつは、地球全体の質量のうち「水は、たったの0.02%しかない」という衝撃の事実
地球という惑星の進化は、水のはたらきを抜きにしては語ることができません。 じつは、水は地球の表層だけではなく、プレートテクトニクスと共に、地球の内部に取り込まれ、地質学的なスケールで大循環しています。しかも、今後6億年で、海の水はすべて地球内部に吸収され、海は消失してしまうという、驚きの最新研究もあります。 【画像】「プレートテクトニクス」の働きは、「海」密接に関係していた 「水」を地球規模のスケールで解説した『水の惑星「地球」 46億年の大循環から地球をみる』から、興味深いトピックをご紹介していくシリーズ。地球の歴史を振り返りながら、「水」が地球の環境のなかで、どのような働きをしているのかを見ていきます。 今回は、地球全体の質量から見ると、意外なほど少なかった水。いったい、この水が、地球に生じた経緯についての解説をお届けします。 *本記事は、『水の惑星「地球」 46億年の大循環から地球をみる』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
スノーラインの内側にある惑星には水が少ない
地球表面の約7割は海に覆われているため、地球は水の惑星ともいわれます。しかし、地球全体の質量からすると水の割合は0.02%にしか過ぎません(図)。水の惑星である特徴は、主に地球表層に注目したものといえます。原始の太陽系星雲には、水素のガスや氷のチリが大量にあったはずなのに、なぜ地球ではほんの少しの水しか取り込まれなかったのでしょうか。 宇宙空間の真空状態では、水は水蒸気もしくは氷として存在し、液体の水は存在できません。圧力が低いと、水を介さず氷から水蒸気に昇華してしまうのです。太陽に近いところでは、太陽から受け取る熱が多いため、水は水蒸気として存在します。 一方、太陽から遠いところでは、温度が低く、水は氷として存在することになります。この境界をスノーラインとよび、原始太陽系では2.7AUのあたりに位置します(1AU は太陽から地球までの距離になります)。 微惑星は重力によってまわりの物質を取り込んでいきますが、水が水蒸気として存在する場合、密度が小さすぎてほとんど取り込むことができません。一方、水が氷であれば、別の固体物質とくっついたりして密度が大きくなることで、微惑星に多く取り込まれます。 スノーラインは、地球型惑星と木星型惑星の境界に位置します。そのため、その内側に位置する地球では水がほとんど取り込まれず岩石を主体とするのに対し、外側にある木星や土星のような木星型惑星は、氷を多く含む微惑星を材料として、ガスや氷からなる巨大な惑星へと成長しました。太陽から離れた天体には、液体の海がなくても、意外にも多くの水成分が含まれています。 探査機「はやぶさ2」が訪れた小惑星リュウグウは、火星と木星のあいだの小惑星帯にあり、ちょうどスノーラインあたりに位置します。小惑星帯のなかでは有機物や水などを多く含んだC型小惑星があり、リュウグウもその一つです。 「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルやデータには、実際に水や有機物がたくさん含まれていることがわかりました。それらの分析を通じて、地球の水や生命の起源に迫ろうとする研究が進められています。 隕石では、大気圏に突入した際に水や有機物は分解してしまうのに対し、リュウグウから直接採取したサンプルには、宇宙空間での初生的な情報が残っていると期待されています。
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