「長女の不登校は私のせい」と自身を責める日々。発達障害かも…という不安、でもだれかに否定してほしい気持ちも【精神科医さわ】
夜中に泣き叫んで寝なかった長女
――先生は現在小学生の娘2人を育てるシングルマザーだそうです。娘さんたちが小さいときの子育てのことを教えてください。 さわ 研修医の2年目に結婚し、その後出産をして、長女が1歳の1年間は夫の仕事の都合でアメリカで過ごしました。その1年間の長女の子育てはとても大変でした。長女は0歳のころは夜もよく寝ていたんですが、1歳を過ぎたころから、毎晩約2時間おきに何かにおびえるように突然泣き叫んでなかなか寝ない、ということが続きました。 住んでいた部屋の壁が薄かったのか、隣人から「赤ちゃんの泣き声がうるさくて眠れない」と毎日のようにクレームが来ました。わが家の寝室が隣人の寝室と隣り合わせだったらしく、最終的には「ベッドルームじゃなくてリビングルームで寝かせて」とまで言われたんです。どんなにあやしても娘はなかなか寝てくれないし、毎日クレームが来るしで、本当に追い詰められていました。 ――長女は日中はどんな様子でしたか? さわ 日中もなにかスイッチが入ると床にひっくり返って泣き叫んで、手がつけられないくらいのかんしゃくを起こすことがよくありました。感覚の過敏さもありました。服の生地の素材やタグ、おむつのチクチク具合など、素材によってすごく嫌がっていました。チクチクする服は着られない、と嫌がって脱ぎ捨てられることもありました。光のまぶしさにも過敏で、車を運転していて西日が強いときにも泣き叫んでいたし、よく行くスーパーで駐車する場所がいつもと違うときにも尋常じゃない泣き叫び方をすることもありました。今思うとそれらは、長女の感覚の過敏さやこだわりの強さのためだったと思います。 当時は初めての子育てだったから「こういうものなのかな、子育てってこんなに大変なんだな」と思っていたんです。 だけど、当時仲よくしていた5歳の男の子を育てる先輩ママが、あるとき「さわさんすごいね、よく頑張ってるね」と優しいねぎらいの言葉をかけてくれたんです。きっとそのママは、娘の泣き方は普通よりも気難しさがあると感じたんだと思います。そのころから、もしかすると娘には発達障害(医学的には「神経発達症」といいます)があるのかもしれない、と気になるようになりました。 ――その後二女を出産して、違いを感じたことはありますか? さわ 日本に帰国してから二女を出産しました。二女は睡眠の質や泣き方が長女のときとは全然違って「こんなに育てやすいのか!」と驚きました。二女を育ててみて、長女にはおそらく発達障害があるだろうと確信したのを覚えています。