実家暮らし43歳長男が認知症母に代わり生活費として2,000万円をコツコツ出金→「なにが悪いの?」と思っていたが…2年後、まさかの“多額の追徴課税”に、撃沈【税理士が解説】
通帳からの出金が税務署にバレる理由
ここで疑問に思う方もいらっしゃると思います。 「通帳から引き出したお金について、税務署はどのようにわかるのか」 税務調査があった場合、税務署は本人の承諾がなくても預金口座を調査でき、本人だけでなく、家族の口座も調査対象になることもあります。 金融機関は過去10年分の入出金データを保存していることが多いため、税務署は過去まで遡って確認することが可能です。 税務署は専用のシステム(国税総合管理システム(KSK))によって、過去10年間分の収入や通帳等の財産を把握することができるのです。 国税庁や税務署では、これによって納税者情報を管理しており、そこには給与や確定申告のデータが登録されているため、そこに記録されている所得状況と預金の状況を照らし合わせてなくなっている預金があればその使い道を調査していきます。 これまでの蓄積された過去データがあるため、相続税の申告をすべき人がしていない場合、税務調査やお尋ねの対象となることも。膨大なデータをもとに照らし合わせているため、不自然な預金の動きがあれば、一目瞭然です。高確率で発覚することになります。 今回のように母親の口座から現金が引き出されていたとすると、税務署はこの引き出したお金について「使途不明金」として調査することになります。 「なんのために支出したのか」 「現金として残っているのではないか」 「誰かに渡しているのではないか」 いろいろな可能性を考えて調査することになります。そのときにAさんが贈与を受けたと説明したとしても、それについて証明するものはなにもありませんでした。そのため、ほかに引き出したお金があればそれも贈与ではないかと疑われてしまう可能性もあります。そしてそれが贈与ではないという証明も困難です。 これらは、贈与から数年経過したあとに問題になることも少なくありません。日ごろから贈与をするのであれば証明可能な方法で進めることがなにより安心です。