《ブラジル》記者コラム=平和教育の根底にある家族の秘話=戦争ゆえに自分は生まれたとの自覚
ジョン・レノンの『イマジン』で終わる慰霊祭
だがこの慰霊祭では靖国の英霊だけでなく、日本移民の先駆者にも慰霊の祈りが捧げられ、神主による神事はなく、最後はジョン・レノンとオノ・ヨーコがキスをして終わるMV(映像)の『イマジン』が流されて終わった。 《想像してごらん 天国なんて無いんだと/ほら、簡単でしょう?/地面の下に地獄なんて無いし/僕たちの上には ただ空があるだけ/さあ想像してごらん みんなが ただ今を生きているって 想像してごらん 国なんて無いんだと/そんなに難しくないでしょう?/殺す理由も死ぬ理由も無く そして宗教も無い/さあ想像してごらん みんなが ただ平和に生きているって》(https://ai-zen.net/kanrinin/kanrinin5.html) 参加者の大半は若者で日本語はほぼゼロだ。それに不満を述べる高齢1世の参加者もいたが、若者参加を最重要視すれば、そのような形になることは明らかだろう。 そしてジョン・レノンと靖国神社には縁がある。オノ・ヨーコの従弟で、外交評論家の加瀬英明氏が2016年10月19日付《あのジョン・レノンが靖国神社を参拝していた!》(https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/599/)という一文を書き、ジョン・レノンとオノ・ヨーコは訪日するたびによく靖国神社と伊勢神宮を訪れていたと述べている。 いわく《ジョンは、日本のよき理解者だった。そして、神道に深く魅せられるようになった。ジョンが、作詞作曲した『イマジン』が、全世界の若者の心をとらえて、大ヒットした。ヨーコと二人で書いたものだったが、一神教を否定していた。「天国も、地獄もないものと、想像してごらん」「宗教がなくなれば、全世界が平和になる」という歌詞のために、キリスト教会から、強い反撥を招いた》とある。そして、《私は『イマジン』は、神道の世界を歌ったものだと思う》と結論した。 約2700年の歴史を持つ世界最古の国・日本の戦争体験と、独立からわずか202年の新興国ブラジルの現実―伝統と未来をどう融合調和させるかという壮大な実験が、いま日系社会では行われている。(深)
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