田村厚労相、不妊治療の保険適用開始まで「助成金の増額」検討
田村憲久厚生労働相は17日の記者会見で、菅義偉(よしひで)首相が打ち出している不妊治療の保険適用について、適用が実現するまでの間、現在の助成制度を大幅に拡充する方針を示した。オンライン診療の恒久化、PCR検査の保険適用外の場合の費用の引き下げについても検討する。いずれも菅首相から指示を受けた。 【動画】田村厚労相、不妊治療の保険適用開始まで「助成制度の増額検討」
保険適用も「なるべく早くできるよう」検討
国は現在、体外受精などの特定不妊治療に関して、初回は30万円、2回目以降は15万円までを助成している。治療開始日の妻の年齢が43歳未満の夫婦が対象で、妻が40歳未満の場合は通算6回まで、40歳以上の場合は3回まで補助される(※)。また夫婦合わせて730万円の所得制限がある。 田村氏は「大幅に増額してほしいとお話をいただいた」と首相から指示を受けたことを明らかにし、「適用までの間も負担軽減が図れるように検討したい」と述べた。 保険適用をめぐっては「体外受精についてもいろんなやり方があるし、手法、質、いろいろな部分がある。どういうものを適用するか慎重に議論しなければならない」と説明。その上で「なるべく早く適用できるように検討したい」とした。 (※)…ただし新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年度に限り治療開始年齢の要件について、対象者の43歳未満を44歳未満、通算回数の40歳未満を41歳未満に、それぞれ時限的に緩和している。
オンライン診療、PCR自己負担の減額も検討
コロナ禍を受けて4月から初診にも解禁されたオンライン診療について恒久化を検討する方針も明らかにした。田村氏は、なりすましなども考えられるとして「しっかりと安全性・有効性を担保できるか考えないといけない」と指摘し、安心して受けられるよう考えていくとした。 新型コロナウイルスのPCR検査を保険適用外で受ける場合、全額自己負担になるが、これも引き下げを検討する。「国際比較で(費用が)高いという数字もあるようだ」と述べ、首相から「なぜ高いのか、調べた上で下げられるものは下げていただきたい」と指示を受けたと話した。 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行への懸念については、春先こそ例年よりインフルエンザ患者が少なかったが、この秋冬が例年より多かった場合、「1日30万件とかそれ以上、発熱者が外来に来るかもしれない」と指摘。 それに対応するためには「かなりの新型コロナウイルスの検査能力がなければならない」と述べた。ただPCR検査では時間がかかるため、抗原検査のキットを日量で20万件確保することを目指して「民間企業、医療機関にも努力いただいている」とした。またほとんどのクリニックで対応できる地域もあれば、そうでない地域もあるとして、その場合は「検査センターもつくらないといけないかもしれない」との見方を示した。