岸田首相が会見 ロシアに追加制裁(全文)国際秩序の根幹揺るがす深刻な事態
岸田文雄首相は25日午前、官邸で記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「岸田首相が会見 ロシアへの追加制裁措置を発表(2022年2月25日)」に対応しております。 【動画】岸田首相が会見 ロシアへの追加制裁措置を発表(2022年2月25日) ◇ ◇
国際秩序の根幹を揺るがす行為
司会:初めに岸田総理から発言がございます。それでは総理、よろしくお願いいたします。 岸田:昨24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始しました。これまで国際社会において緊張緩和に向けさまざまな外交努力が行われる中、わが国としてもさまざまなレベルでロシアに対し、外交による解決を働き掛けてきました。私自身も先週17日に日露首脳電話会談を行い、プーチン大統領に対し、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉により関係国にとって受け入れられる解決方法を追求すべき旨、直接働き掛けを行うとともに、ウクライナなど各国との電話会談、G7首脳テレビ会議などを通じ、G7、EU、そして国際社会の結束の強さを示してまいりました。 こうした国際社会の懸命の努力にもかかわらず行われた今回のロシア軍によるウクライナへの侵攻は、力による一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反です。国際秩序の根幹を揺るがす行為として断じて許容できず、厳しく非難します。わが国の安全保障の観点からも決して看過できません。G7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対して軍の即時撤収、国際法の順守を強く求めます。
在留邦人の安全確保に全力尽くす
この事態を受け、第1にG7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、制裁措置を強化いたします。具体的には23日に発表した制裁措置に加え、資産凍結と査証発給停止によるロシアの個人、団体などへの制裁。2つ目としてロシアの金融機関を対象とする資産凍結といった金融分野での制裁。3つ目として、ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など、汎用品のロシア向け輸出に関する制裁の3分野における措置を速やかに実施いたします。 第2にウクライナ在留邦人の安全確保のため全力を尽くします。ウクライナの在留邦人に対しては、これまで累次にわたり退避を呼び掛けてきた結果、2月23日時点でウクライナ人のご家族をお持ちの方など、自らウクライナ残留を希望される方が約120名となっております。状況が厳しさを増す中、引き続きこうした方々の安全にも最大限努力をしてまいります。 具体的には松田大使以下、現地の日本大使館ができる限りの手段を講じ、邦人保護に取り組みます。ウクライナの隣国であるポーランドに陸路で退避する場合の支援などを行うため、西部のリビウに臨時の連絡事務所を設けました。ポーランド政府からは、邦人の円滑な受け入れについてご協力をいただける予定であり、同国から他の国へと移動するためのチャーター機をすでに手配済みです。 第3に、私自身、首脳外交を積極的に行い、また、さまざまなレベルでG7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、外交的な取り組みを進めてまいります。 第4に、今回の事態によりわが国経済社会に生じるさまざまな悪影響を最小限にとどめるよう取り組みます。まずエネルギーの安定供給についてです。現時点では世界の原油供給はロシアの侵攻によっても断絶しておらず、対ロシア経済制裁はエネルギー供給を直接阻害するものではありません。また、国内には現在、原油については国、民間合わせて約240日分の備蓄があり、LNGについても電力会社、ガス会社において2週間から3週間分の在庫を保有しています。このため、エネルギーの安定供給に直ちに大きな支障を来すことはないと認識をしております。IEAや関係国と協議を行っている国際協調での備蓄放出や、産油国、産ガス国への増産の働き掛けなど、関係国や国際機関とも連携をしながら必要な対策を機動的に講じ、国際的なエネルギー市場の安定化と、わが国へのエネルギー安定供給の確保に万全を期していきます。