岸田首相「第6波の出口へ歩み始める」 3月から水際対策緩和、新規入国「1日5000人」に 1か月半ぶり会見
岸田文雄首相は17日夜、官邸で記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大ペースが落ち着いてきていると指摘した上で「第6波の出口に向かって徐々に歩み始める」と述べ、3月から水際対策の段階的な緩和などに踏み切る方針を示した。 【動画】岸田首相 17道府県への「まん延防止」延長を表明
入国者の待機期間は陰性条件に3日に短縮
官邸の会見室で開かれる岸田首相の会見としては約1か月ぶり。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は同席せず、記者との質疑も含めて約1時間会見した。 岸田首相は冒頭発言で、オミクロン株に対する政府対応について、▽国民の命を守ること▽軽症の自宅療養者の不安に応える▽社会経済活動をできる限り止めないこと、の3点を踏まえて行ってきたと強調。「コロナ対策の基本姿勢、慎重さは堅持しながら、同時に第6波の出口に向かって徐々に歩み始める」との意向を明らかにし、3つの取り組みを進めるとした。 一つは、まん延防止等重点措置の解除についてで、「病床使用率などを総合的に勘案し、感染状況が落ち着いてきた地域については解除していく」とし、山形、島根、山口、大分、沖縄の5県の解除方針を表明した。 二つ目は、ワクチンの3回目接種の加速化で、「安定的に100万回以上が達成されるよう引き続き全力を尽くしていく」と語った。 そして三つ目に挙げたのが、水際対策の緩和。3月1日から「G7(主要7か国)でもっとも厳しい水準は維持しつつ、水際対策の骨格を段階的に緩和していく」とした。具体的には、原則7日間だった入国者の待機期間について、入国前検査と入国時検査に加えて3日目検査での陰性を条件として、3日に短縮する。また、感染が落ち着いている「非指定国」からの入国者でワクチンを3回接種している場合には、待機期間をゼロとする。 外国人の新規入国については、観光目的以外に限って認めることとし、1日あたりの入国人数はこれまでの3500人から5000に戻す。「段階的に国際的な人の往来を増やしていく」とした。 一方で、東京都内でも確認されたオミクロン株の亜種である「BA.2」にも言及し、今後このBA.2に置き換わっていくことで「再度、感染状況が悪化する可能性には十分に注意しなければならない。感染状況に悪化の兆しがあった場合には即座に対応を見直していく」とも述べた。
コロナ「5類」への引き下げ「現実的ではない」
出口戦略に関連しては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを「2類相当」から「5類」に引き下げるかに関する質問が出た。岸田首相は「仮に新型コロナウイルス感染症を5類にした場合、健康状態の報告把握、外出自粛などの要請、入院措置ができなくなる」と懸念点を挙げ、「感染拡大の心配が世の中で感じられている中にあって、このタイミングで分類を変更するということは現実的ではないのではないか」との見解を示した。議論自体については厚生労働省の審議会で続けていきたいとした。