【30年以上通い続けて感じること】亀山湖×川島 勉『ホームレイクその変化と不変』
考え続け、動き続け、投げ続けた1日
川島「いつも通り表層系で巻く感じですかね。それでダメならちょっとワームを落とすかなぐらいで、細かい釣りはしないです。大雑把な釣りばっかりです」 約3週間ぶりだという亀山湖。小雨が降る中、のむらボートを出発すると上流方面へ向かう。 川島「この前の土砂降りで水温が下がってフル満水になって、リセットされちゃった感じ。よく分かってないです。とりあえず上流に行ってみようかなみたいな、そのくらいの感覚ですね。上流に行けば魚がいるかいないか目で見られるだろうし、上にいなきゃそこからちょっと下ったところにいるんじゃねーのくらいの感じで」 そんな言葉通り、小櫃川と猪の川から下った合流点となる長崎で新作ミノーを巻くと反応あり。幸先よく1本目をキャッチした。 川島「ボイルらしきものがいっぱいあったんですけど、バスだったのか。ワタカを食ってますね」 その後は猪の川を上り、戻ってくると折木沢方面へ。そして、つぼりと、医院下、白鳥島と次々に釣り流していく。 川島「自分の場合は、誰かに聞いて情報収集するっていうのはしたくないんですよ。できれば自分の感覚でやってみたいんで」 目の前の景色を取り込んで分析し、仮説を立てて釣るために動く。もちろんそれは、釣れる釣りではなく釣りたい釣りで、だ。
正解はひとつじゃないから難しく、楽しい
迷いつつも楽しげにルアーを選ぶ姿は、失礼ながらバス釣り歴30年を超える熟練とは思えない。 川島「嬉しい! 面白い! ね、こんなルアーでも釣れるんですよ」 角柳の岬で、ベロ120Fにダマされたバスを手にすると、さらに無邪気な笑みを浮かべた。 川島「もうちょっとでかければ『今日の実釣は終わりですね!』って言ってたかもしれません(笑)」 その後は本湖方面に向かい、押切沢、中之島、柳島を経て、ラストは最も感触がよかった長崎へ。 午前中と同じように水面は騒がしい。バスが食っているのは2~3cmほどのワタカだが、ルアーが小さくなることはない。 岸に向け沖に向け、信じたルアーをひたすらに通す。これが昔から変わらない、川島さんと亀山湖との関係性。 川島「なにが起こるか分からない、最初から諦めちゃうとなにも投げられなくなるんで、絶対こんなのに興味ないだろうなと思いつつ、釣れちゃったらびっくりですけどね。そう思いながらやれるから楽しいんです、飽きないんです。もう一回引いちゃお」 愛すべき湖の上に、ゆるやかな放物線が描かれた。