【30年以上通い続けて感じること】亀山湖×川島 勉『ホームレイクその変化と不変』
帰るべき場所、変わっていく場所
川島さんにとっての『原点』とは、リセットされたスタート地点ではない。 川島「昔から知ってるけど変化もしてる。昔のままじゃないのもいいのかもしれないですね。釣れ方、釣り方、釣れる場所が変わると新鮮じゃないですか。もう亀山はいいやって思いながらよそに行って、でもまた帰ってくるってのを何回も繰り返してるんで。自分でもなにがしたいのかよく分かんなくなるときもあるんですけど。ただ帰ってくるとまた面白いんですよね、色々変わってて」 変化こそが、終わることのない遊びを提供してくれる。 川島「常連さんたちやお客さんも変わるじゃないですか。で、新たに面白い人が来たりするとそれがまた面白くなっちゃって。またそいつと会えたらいいな、ぐらいで来たりとか。そういう感じなんです」
亀山湖とルアー
小さくするだけが正解じゃないことを伝えたい いまから20年以上前、亀山湖ではカバーを撃てば釣れる時代があった。川島さんはそれを全盛期と言ったが、次第にその事実が分かってくると、多くの釣り人がこぞってカバーを撃ちだした。 川島「結局カバーだからジグやテキサスでやればいいんですけど、そうじゃないもので釣れたらってところですよ。みんなが『え、それで釣ったの?』っていうのがちょっと面白いかなと思って」 そのアイデアは躱マイキーとなり、川島さんの名を世に知らしめることになったが、この考えが川島さんのバス釣りの根源にある。 川島「亀山のバスって、ボイルしてていかにも釣れそうだけど釣れないとか、ルアーのサイズをきっちり合わせないと食いにくいとか、合わせても釣れにくいとか。でもそういうバスだけじゃないんで。いろんな釣り方で狙えるバスは絶対いる。やり切れるかどうかなんだよな、きっと。やり切らないと答えが、いや、答えというか結果が見えない釣りもあるんで」
やり切った結果から生み出された個性
川島さんのバス釣りが支持されている(本人は「ある程度」と注釈を付けるが)のは、奇をてらっただけではなく、やり切った結果が込められているからだ。 川島「そんな釣り方はありえないっていう人たちは昔からいるんですよ。でも、ありえないんじゃなくて、ありえるから釣れてるんじゃんって、そこにも触れてほしい気持ちはある。でもあんまり触れられちゃうと自分が釣れる魚も減ってしまうので、まあいいかっていうのが本音なんですけど(笑)」 10年以上前の取材でも同意の発言はあったがそのとき「でもまだ引き出しはある」と継いだ言葉が印象的だった。そう昔話を伝えると、笑顔で答えてくれた。 川島「ええ、僕にはまだまだ引き出しはあります。その引き出しが効く効かないは置いといて。自分が楽しめる引き出しなんですけど、盲点だったって思われるような、それはまだあるなって」 土日はもちろん、平日でも多くのボートが浮く亀山湖だからこそ、その思いは変わることはない。 川島「効かないよって分かっていながらも投げちゃう。なぜなら効かない状況で効いちゃったりしたら嬉しいから。それだけなんですよ。ただオレの場合は自分で作ったものなので、それで釣れれば嬉しいっていう別の楽しみもある。だからせめてその思いを汲んでもらいたいがために、チューニングはしやすくしてます。使い方がひとつだけにならないように、うちのルアーは全部そうしてるんです」 川島さんが起ち上げたブランド、BETOBETOのホームページにはこう書かれている。 『正解なんて、ない』