86歳・田村セツコが<若さと幸せは比例しない>と断言する理由。「若いときと年をとってからでは<孤独>の感じ方がまったく違って…」
総務省統計局が行った「令和2年 国勢調査」によると、単独世帯の割合が最も高かったのは、男性は25~34歳、女性は75~84歳だったそうです。そのようななか、86歳で現役イラストレーターとして活躍する田村セツコさんは「孤独って、いやだと思うとどこまでもいやだけど、素敵って思うと素敵に思える不思議なもの」と語ります。今回は、田村さんの著書『[ミラクル新書版]孤独ぎらいのひとり好き』から、幸せになるための<孤独論>を一部ご紹介します。 【写真】86歳で現役イラストレーターとして活躍する田村セツコさん * * * * * * * ◆若さと幸せは比例するの? 若さと幸せは比例するのでしょうか。わたしはそうは思いません。 自分が若かった頃を振り返ってみると、はたして幸せだったのだろうかと思います。 大きいものから小さいものまで、もう悩み満載で、孤独感もものすごくありました。 年上の人からすれば、まだ若くていいわねと言われるけど、本人は幸せをつかみ損ねた子羊のように迷っている。そんな若い女性はたくさんいます。 だから、若さイコール幸せ、年をとることイコール不幸せという錯覚(さっかく)を早く取り除くことです。姿の若さよりも、内面的な充実に目を向けること。 この充実感というのは、コラーゲンみたいに外から注入はできません。 自分自身が生活の中から得ていくしかないのでは?
◆若いときの孤独、年をとったときの孤独 振り返ると、わたしは、若いときのほうが孤独だった気がします。 若くて元気でかわいかったとき、すごくモテてたとき、それははたから見たら全然孤独じゃなく見えるわけですが、そこに不思議な逆転劇があるんです。 いつでも非常に不安定な気持ちがありました。決して満足できないんですよね。 不安でたまらない。それも不思議なエネルギーの作用だから自分には原因もわからないんですよ。 本人にはわからないけど若いときのほうがもっと孤独感がありました。 10代とか、青春時代っていうのはね、大人の人からは、あら元気でいいわね、たのしいでしょと思われるかもしれないけど、本人はたのしいどころじゃないんです。 毎日気分が変わって、晴れたり曇ったり晴れたり曇ったり……。自分でも自分のことを、何なんだ? と思う。 少しは落ち着いたらどうなんだと。いわゆる不安定なんですよね。 グラフにするとギザギザの折れ線グラフなんです。
【関連記事】
- 孤独ぎらいでひとり好きな86歳・田村セツコ「孤独というのは曲者。素晴らしい宝物でもあり、危険な贈り物でもあると思う」
- 86歳・田村セツコ「午前3時頃、突然さみしくてたまらなくなったりする。そんなときにぜひ考えてほしいのは…」
- 86歳・田村セツコ 誰でも平等にある<孤独のさみしさ>。「孤独と仲よくできる人はラッキー。それは年齢も性別も関係ない」
- 田村セツコ「70歳で、91歳の母とパーキンソン病の妹、3人での暮らしを決意。老老介護も疲れを感じなかった」【2023年4-9月ベスト記事】
- 田村セツコ 85歳のひとり暮らし「亡き母の紙おむつを使ったらすばらしさにびっくり。草なぎくんが宣伝してる時代、もっと微笑ましい日用品として扱ってもいいんじゃない?」