「頻繁に停電」「だがグラウンドには300万円の機械が」…。貧困国ドミニカで「野球選手」夢見る少年たちの“悲哀”とは?
ドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴ。近代的なビルが立ち並ぶ首都の中心部をひと目見ると、そこが開発途上国であることを忘れさせる。 【画像】ドミニカで物乞いする人と、親のためにお金を稼ぐことを誓う稼野球少年のインスタ 一方で、足元に目を向けるとゴミが散乱していたり、舗装されていない道も少なくない。 さらに、都心から少し離れると、状況は大きく変わった。私が滞在していた地域では、首都であるにもかかわらず、シャワーは水しか出ないし、2日に1回は停電が起きた。生活するうえで直面するインフラ面の課題が、この国が豊かでないことを証明していた。
■アメリカ資本の存在を感じた場所 舗装されていない道や物乞いの少年たちを抜けると、そこには場違いだと思ってしまうほど立派な門が複数個現れた。それは、ドミニカにある、MLBのメジャー球団の、マイナーリーグの組織のグラウンドであった。 国のインフラとは裏腹に、綺麗なグラウンドが複数面あった。マウンドには最新鋭の1台300万円近くする機械もあった。それは、プロ野球選手を夢見て日本で練習を続けてきた私の目から見ても、なかなかお目にかかれない代物だった。
このような最新鋭の機械を、ドミニカの自国でそれほど潤うことはできるのだろうか。いや、そんなわけがない。そこまでの道中との対比によって、アメリカ資本の存在を感じずにはいられなかった。 そしてもう1つ、私がアメリカ資本の存在を感じた場所があった。それは、マイナー契約を目指すアカデミーだ。 ■充実した環境で何不自由なく育成される ここで、ドミニカの野球界について、ざっくりと説明したい。 高校や大学、社会人などプロを目指す場所の選択肢が色々ある日本と違って、ドミニカでは「アカデミー」が野球教育の中心だ。その名の通り、野球選手を育成するための場所だ。
アカデミーの種類は大きく分けて2つある。1つ目は「メジャーの下部組織」だ。2つ目は「メジャーの下部組織との契約を目指すアカデミー」だ。 ①メジャーの下部組織:エリート養成校 一般に日本の野球ファンが想像するアカデミーは、1つ目のメジャーリーグの下部組織としてのアカデミーだろう。MLBの各球団が投資をして、ドミニカ国内に作った野球学校だ。やや語弊があるかもしれないが、日本人にわかりやすく表現すると「外資系のエリート養成校」という感じだろうか。