消費者に「値上げ」を理解してもらうための価格設定はどうやる? コスト増時代を勝ち抜くための基本方針とプロセスとは
亮ちゃんは人がいいね。こういう時こそ、ブランドだったりお店の真価が試されている時だよ。メンバーと一緒に考えてみたら?
試されているってどういうこと?
コスト増であっても利益を伸ばし、それを確保し続けるには、売り上げを増やすか、コストを減らすしかないよね。ECビジネスで売り上げを増やすには、今の局面では、客数増を考えるよりは値上げが現実的だと思う。日本の人口減や昨今のサービス財への家計の振り戻しを考えるとね。お客さまが、ブランドやショップを信頼していれば、値上げだって受け入れてくれるはずだよ。また、コスト削減を探るにも、お客さまの期待を正しく把握してブランドやショップイメージを毀損させないポイントが明らかになっていないと、ただ商品・サービスの価値を下げてしまうから気をつけたいね。
値上げの基本方針と戦略
うん、うん、おっしゃる通り……。正論だし、それは理解しているんだよね。ショップは4年目になって固定客も増えてきたから大丈夫だと思うけど。まぁ、値上げは勇気がいるんだよなぁ。特にオンラインで買うお客さんって価格に敏感だと思うからさ。
そうだね、単に原価が上がったからと、何も考えずにやるのは危ないと思う。お客さまが感じている商品やサービスの価値を維持することと、ショップの継続のバランスがポイントじゃないかな。そのためには、市場環境、競合他社の動向、お客さまの価値観、そして自社のブランド・ショップのポジショニングをしっかり捉えていきたいところだね。単純にコストが上がった分を、そのまま反映するショップも少なくないけど、価格設定の基本に今一度立ち返るといいと思うんだ。
なるほどね、「コスト」だけじゃなくて、「需要」と「競合」も考慮に入れるってことか。
■ コスト志向の価格設定 まず、価格設定の最低ラインとして、やっぱりコストを上回る価格設定は基本的なことだよね。商品の原価に加えて、ネットショップの運営に関するコスト、人件費などの間接費の上昇分も配賦して、改めて商品1個あたりのコストを算出したいね。ただ、この方法は競争が激しい市場ではリスクがあるんだ。たとえば、家電のような型番で検索されるような商品では、値上げするとお客さまが他社に流れる可能性があるから、コスト削減で競争価格を維持する方法を探った方がいい。亮ちゃんのショップはどうだと思う?