優勝したヤクルト高津監督がノムさんから学んだ言葉の力…「絶対大丈夫!」のスローガン背景に「ノムラID野球」あり
ヤクルトが26日、横浜スタジアムで行われた横浜DeNA戦に5-1で逆転勝利をおさめ2位の阪神が甲子園で中日に0-4で敗れたため6年ぶり8度目の優勝が決定した。2年連続最下位のチームを優勝へ導いたのは就任2年目の高津臣吾監督(52)だ。「絶対大丈夫!」の言葉に代表される強いリーダーシップと決断力のベースにあるのは“名将”故・野村克也氏から薫陶を受けた「ノムラID野球」、そして意外なルーツだった…。
1993年西武との日本シリーズ第7戦のミーティング
秋風が吹くハマスタに高津監督が5度宙に舞った。残り3試合でマジック「2」。背水とも言える横浜DeNA戦で打線が爆発しブルペンが踏ん張るというヤクルトらしいゲーム展開で王手をかけ、その数十分後に阪神が中日に敗れて歓喜の瞬間が訪れた。 場内での優勝インタビューで高津監督はV理由をこう説明した。 「よく打線が注目されるんですが、先発投手から投手力がここ数年から今年にかけてすごくアップしたのが今年勝てた要因かなと思います。もちろんチーム一丸となって打線もつないでいく、投手もつないでいくという”つなぎの野球”というのがしっかり出来たのかなと」 昨年まで2年連続最下位のチームが頂点に立った。 「今年のキャンプに入る前日に“2年連続最下位の悔しさを持って今シーズンに入っていこう“という話をしました。首位に立つ時間は1カ月ほどで短く、悔しいスタート(開幕で阪神に3連敗)になったんですけど、その悔しさをずっと胸に持って選手が一生懸命戦ってくれた結果だと思います」 そしてアナウンサーから促され、優勝へのラストスパートのスローガンになった、あの言葉をファンに伝えた。 「絶対大丈夫です!我々は絶対どんなことがあっても崩れません!」 9月7日、甲子園での阪神戦前の全員ミーティングで高津監督が語りかけた言葉だ。 高津監督は、「絶対大丈夫。自分を理解し周りを信じてチームスワローズが一枚岩になれば絶対に崩れない。絶対大丈夫。なにかあったら僕が出ていく。なにかあったら僕に相談してくれ。自分で抱えないでコーチに相談してくれ。絶対大丈夫、絶対いけるから」と熱く語りかけたのだが、この話には前段があった。 高津監督は、1993年の西武との日本シリーズの第7戦の朝に立川の宿泊先ホテルで行われた”野村ミーティング”の話をした。黄金期の西武に前年度も3勝4敗で敗れ、この年も同じ展開となった。相手チームの傾向と対策のミーティングを綿密に行った後に、ノムさんは「勝負は時の運や」と語ったという。 高津監督は「人事を尽くして努力した後は神様しか勝敗を左右できない。野村監督は、そこまでの準備をしたのか?と言いたかったんだと思う。それで気持ちが楽になった」と、当時の心境を説明して「絶対大丈夫」という話につなげたのだ。 指導者の言葉の影響力をノムさんから学んだからこそ、その言葉の力で最終コーナーを回ったチームに自信という名の鞭を入れたのである。 ちなみにそのシリーズ第7戦は、1回の表に広沢克実氏が3ラン、その裏に清原和博氏が2ランを放つ波乱のスタートだったが4-2でヤクルトが勝った。ストッパーの高津監督は、8回から回跨ぎで2イニング登板して胴上げ投手となっている。