東京の23区とは違う? 大阪都構想の特別区
【違い2】区議会の議員数
東京特別区の議会議員数は、人口規模に応じて25人~50人の範囲で決められている。10万人に満たない千代田区は特例で25人となっているが、世田谷区など3区が50人、平均的規模の品川区で40人だ。東京23特別区の全議員定数は902人(2019年5月)。1議員が住民約1万人を代表する形となっている。 大阪で想定されている特別区では4区の総定数が83。現在の大阪市議会定数(83人)を増やさない前提で4特別区に割り振っているためだ。区ごとに見ると、淀川区が18人、天王寺区が19人、北区が23人、中央区が23人。1議員が住民約3万人を代表する形で代表度は高く、人口当たりの議員数は東京と比べ極めて少ない。 人口規模の近い東京の特別区だと4区の議員定数が193人になるが大阪はその4割程度にとどまる。議員人件費負担を増やさぬように工夫されている。
【違い3】業務と権限
上述の通り、事務の権限は東京特別区が一般市並みなのに対し、大阪都構想における特別区は中核市並み。つまり、大阪の方が業務の幅が広く、権限も強い。中核市は権限と財源において一般市と政令指定都市の中間に位置するもので、現在、全国で60市ある。 具体的には、パスポートの交付や児童相談所の設置など、府県や政令指定都市の権限に関わる事務も移され、住民サービスの充実が図られる。東京では虐待防止などを担う児童相談所は未だ都にあり、各特別区には「こども相談センター」という児童相談の窓口業務を行う施設しかない。現在いくつかの区が児童相談所の設置準備に動いている段階だ。 これまでの大阪市だと児童相談所、保健所、教育委員会はそれぞれ1つだった。特別区になるとそれぞれの区に1つずつ置かれ、4倍に機関が増えることから身近なサービスが充実する、というのが推進する側の主張だ。
【違い4】都区財政調整制度
この仕組みは、業務に必要な財源を特別区と都(府)に分け、特別区毎の財政収入に大きな差が出ないよう財源を調整するものだ。(1)都と特別区の間の財源の均衡化(2)特別区間の財源の均衡化(3)特別区の行政の自主的かつ計画的な運営確保――が狙いで、都区制度の大きな特徴の一つだ。 東京の場合、区部からの法人住民税、固定資産税、特別土地保有税を調整3税とし、それに法人事業税交付対象額を合算し財源としているが、大阪の場合これに更に地方交付税(市町村分)が加わる。 これは特別区の区域を通じ一体的に処理する必要のある広域行政事務(上下水道、消防など)を都(府)に配分し、残りを特別区の固有財源として配分する仕組みにある。大都市行政の一体性を確保しつつ、身近な地方自治の強化を財源で裏付けるのがこの都区財政調整制度であり、政令指定都市や中核市など他の大都市制度にはない独特のものだ。