【Q&A】「大阪都構想」とは?
人口275万人の大阪市で「大阪都構想」をめぐる住民投票が10月12日告示、11月1日投開票の予定で行われます。住民投票は2015年5月に続き2回目。前回は僅差で「反対」が「賛成」を上回りました。今回はどのような結果になるのでしょうか。 「大阪都構想」住民投票に向けた説明会を開催(2020年10月4日) 吉村洋文府知事、松井一郎市長ら「大阪維新の会」が推進しようとしている「大阪都構想」ですが、そもそも何を目的としたもので、実現すると市民生活にどんな変化が起きるのでしょうか。行政学者の佐々木信夫・中央大名誉教授に聞きました。
Q:「大阪都構想」って何?
(1)大阪市を廃止(2)広域行政は大阪府に統合(3)基礎行政は新たに創設する4つの特別区が担う――というのが柱です。特別区では公選で区長、区議会が選出され、住民自治を充実させる仕組みとなります。
Q:なぜ、いま「都構想」?
推進派は、戦後70年以上続く大阪市、大阪府による二重行政のムダを排除し、「不幸せ(府市合わせ)」とも言われてきた両首長による二頭立て政治を解消することを理由に挙げています。 大都市と都道府県による二重行政が起きているのは大阪に限ったことではありません。ただ大阪の場合、香川県に次いで2番目に県域が狭く、多くの機能が大阪市に集まっているため、他の地域よりも二重行政などの問題がより鮮明に現れています。 例えば、大阪市内には大学、産業施設、図書館、公会堂、ホール、研究所などの施設を府と市がそれぞれ設置しているのです。
Q:住民投票はどう行われるの?
住民投票には公職選挙法が準用され、選挙と同じように有権者の投票が行われます。有権者225万人の投票総数の過半の賛成が得られれば可決となります。 その場合は移行準備期間を経て2025年1月1日に大阪市が廃止され、4つの特別区(淀川、北、中央、天王寺)が誕生することになります。
Q:大阪府が「大阪都」になるの?
大阪市民による住民投票で「都構想」が可決されても、法律上、大阪府が自動的に「大阪都」に名称変更される訳ではありません。専門家の解釈だと大阪府民880万人による名称変更の可否を問う住民投票が数年以内に必要だとのことです。 仮に大阪府が大阪都になると、現在の1都1道2府43県が約80年ぶりに2都1道1府43県に塗り替わることになります。東京は1943年(昭和18年)、戦時体制下で東京府と東京市が合体し東京都になり、戦後に23の特別区が置かれて現在に至っています。