寒い地方と暑い地方、幸せに暮らせるのはどっち? 心理学者が解説
寒冷な地域の人々が集まれば、そのつながりはより親密で有意義なものになる
こうした理由から、ノルウェーやスウェーデン、フィンランドといった冬の長い北欧諸国は、世界で最も生産性の高い国の常連となっているのだ。北欧諸国の暗く寒い冬の季節は、計画的で集中しやすい環境も生み出す。人々は家の中にいなければならないため、気が散るものが少なく、腰を据えて自分のすべきことに集中する傾向がある。 ■2. 寒さは親しい人とのつながりを深める もちろん、幸せの要因は労働や生産性だけではない。喜びと充実感をもたらす最も重要な源の1つとして、人間関係が挙げられる。 寒い冬に孤立しやすくなることは周知の事実だ。天候が厳しいと、人々は外出や社交を控えるためだ。これにより、孤独感や抑うつ感が増すこともある。しかし裏を返せば、寒冷な地域の人々が集まれば、そのつながりはより親密で有意義なものになるということだ。 世界で最も幸せな国として知られるデンマークでは、親密で居心地の良い一体感を「ヒュッゲ」と呼ぶ。この言葉は、寒い国の人々が親しい友人たちと暖炉を囲み、温かい食事をともにすることをいかに大切にしているかを示している。 結局のところ、温暖な気候と寒冷な気候のどちらか一方だけが精神的に良いということはない。どちらの気候にも一長一短があるからだ。とはいえ、私たちは一体どこに住めば幸せになれるのだろうか? その答えは、個人の気質や目標、ライフスタイルの好みなどによって異なるだろう。 社交的な環境や屋外での活動を楽しみ、ゆったりとしたワークライフバランスを好むなら、温暖な気候が理想的な選択となるに違いない。一方、計画性や生産性、親しい人との深いつながりを重視する人にとっては、寒冷な気候の方が心穏やかに暮らすための精神的な余裕を与えてくれるかもしれない。
Mark Travers