「いきなり論破」は絶対ダメ!相手を怒らせずに自己主張する技術「イエスバット話法」とは
コロナ禍以降、生活スタイルの変化に伴って夫婦の時間が増えた結果、熟年離婚が相次いでいる。離婚の原因を紐解いてみると、夫婦関係のほんのささいな不満に根ざしていることも少なくない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 本連載では、離婚カウンセラーとしてこれまで約4万件もの離婚相談を受けてきた著者の新刊『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)より一部抜粋・再編集して、夫婦関係におけるトラブル回避のためのノウハウをお届けする。 身近な人間関係に対するコミュニケーション技術は夫婦間の問題のみならず、職場や家庭、子どもや介護にまつわる悩みの解決にも役立つはずだ。 『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』 連載第49回 『「言わなくてもわかってくれる」は大間違い!夫婦円満のために意識するべき「ねぎらいの言葉」の重要性』より続く
相手を怒らせずに自己主張する
離婚相談に来る方には「相手に言いたいことを言えず我慢している」人が多いと書きました。「自分の意見を言うと否定される、ケンカになる」と思っている人がたくさんいます。 以前、『嫌われる勇気』という本が大ヒットしましたが、「自己主張すると嫌われる」と感じている人は、やはりかなり多いと感じます。 先にご紹介した「アサーション」は、相手を怒らせずに自己主張する技術でしたが、他にも「イエスバット話法」という方法があります。 ビジネスの世界では有名な話法で、営業トークに取り入れている人も多いのではないでしょうか。
営業トークの「イエスバット話法」
たとえばあなたが車のセールス担当で、お客さんにベンツを売ろうとしているとします。 でもお客さんから「ベンツなんか高くて買えない。うちは国産の軽自動車で十分」と言われてしまった場合、どう切り返せばいいでしょうか。 「国産の軽自動車なんて、狭くて乗り心地が悪いし、スピードも遅いですよ」と、お客さんの言い分を真っ向から否定すると、きっと怒ってしまうでしょう。 でも、「そうですよね。ベンツは高いですから、大変な出費ですよね」と、いったん主張を受け止めた上で、「でも、ベンツはとても安全な車なんですよ」とか「でも、ベンツに乗ることで、仕事へのモチベーションが上がって、収入が増える人もいるんですよ」などと自分の意見を伝えれば、はなからお客さんの意見を否定するよりは相手も納得しやすいでしょう。
夫婦でも「イエスバット話法」が大事
これが「イエスバット話法」です。 普段のビジネスシーンでは「イエスバット話法」を使っている人でも、夫婦関係だと相手の意見をいったん受け入れるのを忘れて、いきなり論破しようとしたりします。 「夫婦だから許される」と感じてしまうのでしょうが、相手にとっては「カチンとくる」伝え方です。 夫婦でも「イエスバット話法」を忘れず、相手の言い分に「そうだね、そうだね」と寄り添ってから、「でもね……」と、さりげなく自己主張をするようにしましょう。 『夫婦関係の永遠の悩み「モラハラ」「マウンティング」…長年のパートナーへのストレスも“たったこれだけ”で解消できる“思いもよらない合言葉”』へ続く
岡野 あつこ(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー)