【朝日杯FS】アドマイヤズーム圧倒!2歳マイル王戴冠 有馬ドウデュースにバトンつなぐ
終わってみれば1強だった。2歳マイル王者決定戦「第76回朝日杯FS」が15日、京都競馬場で行われ、5番人気アドマイヤズームが好位2番手から力強く伸びて2馬身半差の快勝。同世代のライバルを寄せつけない強さで、2歳マイル王に輝いた。鞍上の川田将雅(39)は昨年のジャンタルマンタルに続く当レース連覇。管理する友道康夫師(61)は21年ドウデュース以来の3勝目となった。 青と白の勝負服が直線、鮮やかに抜け出した。アドマイヤズームが馬場の真ん中から一気にギアを上げ、後続との差を広げていく。グングン伸び、G1初Vのゴールに飛び込んだ。2馬身半差。未勝利Vから挑んだとは思えないほどの勝ちっぷりだった。鞍上は「とてもいい走りで勝ち切ってくれてホッとしています。亡くなられてしまいましたが、元オーナーの近藤(利一)会長にはお世話になりました。奥さまが引き継がれて、アドマイヤの馬で勝てたことが、うれしく思います」と勝利をかみしめた。 好スタートから逃げ馬の後ろにつけ、道中はリズムを最優先。直線に入ったところで逃げ馬をかわして堂々と先頭へ。川田は「道中でしっかり我慢することができました。3、4コーナーはとてもスムーズに(坂を)下って来られて、4コーナーで少し反応を見た時にしっかり動ける雰囲気があったので、もう負けることはないと思いました」と振り返る。上がり3F33秒6は出走メンバー最速。圧倒的な強さで押し切った。 「アドマイヤ」の冠名で愛され、19年11月17日に死去した近藤利一氏は友道師にとって開業当初からお世話になった一人。同年12月の香港マイルはアドマイヤマーズで亡きオーナーに弔いVをささげた。当時のげんを担ぎ、5年前と同じスーツで、レースに臨んでいた。師は「近藤利一オーナーのスーツできました。(勝てて)ホッとしている」と安どの表情を浮かべた。 友道師は18年アドマイヤマーズ、21年ドウデュースに続く朝日杯FS3勝目。このレースを制した先輩2頭は翌年もG1タイトルを手にした。厩舎にとっては出世レースになっている。新たなスター候補はレースでは真面目な優等生だが、まだ若馬らしい幼さも残る。メンタルの部分が成長すれば、将来が末恐ろしい。 指揮官も「追い出してからの反応が良く、いい脚を長く使えるのがストロングポイント」と長所を伝えた上で「オーナーと相談することになるが、来年の春はNHKマイルCを目指して(レース)番組を組み立てたい」と先を見据えた。 3年前に朝日杯FSを制したドウデュースはG1・5勝馬となり、22日の有馬記念でラストランを迎える。厩舎の偉大な先輩に、最高の形でVバトンをつないだ。 ◆アドマイヤズーム 父モーリス、母ダイワズーム(母の父ハーツクライ)22年2月28日生まれ 牡2歳 栗東・友道厩舎所属 馬主・近藤旬子氏 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金7776万2000円 馬名の由来は冠名+母名の一部(素早く動く)