ソト代理人が描いた“2年計画” 1176億円を引き出した手腕「チェスのように進めた」
メッツのコーエン氏は「他の全てのチームを上回る額を出すつもりだった」
ヤンキースからFAとなったフアン・ソト外野手は、プロスポーツ史上最高額となる15年総額7億6500万ドル(約1176億円)でメッツと契約を締結した。スポーツビジネス起業家のジョー・ポンプリアーノ氏のYouTube「ジョー・ポンプ・ショー」では「フアン・ソトの契約はなぜ悪い取引なのか」として、巨額契約を分析。代理人スコット・ボラス氏の“計画通り”であるとした。 【写真】一体いくらするんだ……大富豪・コーエン氏の自宅 ソトはナショナルズ時代の2022年7月、当時のMLB史上最高額で米スポーツ市場2番目に大きい15年4億4000万ドル(約676億円)の残留オファーを断ったと報じられていた。そのわずか2週間後にパドレスにトレード。「ソトはナショナルズが契約オファーの額をリークしたことに不信感を感じたとともに、ナショナルズとの延長契約にサインしなかったのは、ナショナルズに、なんとしても勝つ覚悟が感じられなかったからだと話した」という。 そして「こうしたことは、代理人ボラスの壮大な計画の一部でもあった。ボラスは2022年のオールスターゲームで、ソトが26歳でFA市場に出てほしいと話した。理由として、その年齢でのスーパースターは10億ドル(約1537億円)の価値が出るかもしれないことを挙げた。彼は賭けに出た甲斐があった。ソトは隣町のライバル・メッツと15年7億6500万ドルの契約を結んだのだ」と指摘した。 ソトのオプトアウト権を無効にする場合の(チーム側からの)支払いも含めると、今後15年間で8億ドル(約1230億円)に及ぶかもしれない。「ボラスがソトのFA契約を優れたチェスの勝負のように進めたというのが現実だ」というように、ボラス氏はソトのFA契約を進めるうえで厳格なルールを設定。関心を持っていた各チームは、カリフォルニアに来て直接ソトに売り込まなくてはならず、一斉の金額提示は3度行われ、すべてボラス氏のオフィスからおよそ1マイル(約1.6キロ)のニューポート・ビーチのホテルで行われた。 ヤンキース、ブルージェイズ、レッドソックス、ドジャースが最終的に交渉の場に残る中、“金満”で知られるメッツのオーナー、スティーブ・コーエン氏は、最後の会合は指定されたホテルではなくビバリーヒルズの自宅で会うことを希望し、勝つためにはソトが必要だということを明確に示した。 「そしてコーエンは何としてもクイーンズ(メッツ本拠地)にワールドシリーズトロフィーを取り戻すことも明確にした。この段階で、勝負はついていた。コーエンはいくらになろうとも、他の全てのチームを上回る額を出すつもりだったからだ。あらゆる点から考えて、彼(コーエン)はきっと、年代を代表するスーパースター獲得のためにはさらに高額を出すことも辞さなかっただろう」と強い思いと金額で他球団を凌駕し、“勝利”を掴み取った。
Full-Count編集部