いよいよ1月5日から。2025年大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』(NHK)を支えるスタッフにインタビュー vol.2【インティマシー・コーディネーター 浅田智穂さん】
2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~』(NHK)。江戸のメディア王、蔦屋重三郎・通称“蔦重”を主人公にした物語です。1月5日(日)からの放送開始に先だち、ドラマを支えるスタッフへ取材を行いました。第2回目は、インティマシー・コーディネーターの浅田智穂さんです。大河ドラマにインティマシー・コーディネーターが導入されるのは初めてのこと。所感を浅田さんに聞きました。
大河ドラマでは初めての インティマシー・コーディネーター、国内第1号の浅田智穂さん。 「俳優がリラックスして演じられることが、良い作品に繋がります」
―NHKのドラマにおけるインティマシー・コーディネーターの導入は、2022~2023年の『大奥』(よしながふみ原作)で浅田さんが参加されたことが最初と伺っています。大河ドラマでは初の起用になることについての思いを聞かせてください。 「NHKの大河ドラマというと、全国的に本当にたくさんの視聴者がいて、とても影響力を持っている作品です。それにインティマシー・コーディネーターが入るということは、とてもメッセージ性の高い素晴らしいことで、たくさんの方が観る作品に関わることへの責任も強く感じます」 ―今回浅田さんが大河ドラマに参加されるということで、<インティマシー・コーディネーター>という職業を初めて知る視聴者も多いと思います。改めて、どういうお仕事をされているのか教えてください。
「インティマシー・コーディネーター(以下IC)とは、ひとことで定義すると、映像作品などで性的な描写やヌードがあるときに、俳優の皆さんが精神的にも身体的にも安心安全に演じることができて、かつ監督が求めているビジョンを最大限実現するためにコーディネートをするスタッフです。仕事の内容で言うと、まず脚本を読んで、インティマシー・シーン-インティマシーとは<親密>という意味なんですが、その要素があるシーンを抜粋していきます。その抜粋したシーンについて監督とお話をします。日本の台本って、ト書きにあまり詳しく書いていないんですね。 例えば、事後の設定とかですと、2人は何をしていてどういう状態で、布団はかけているのかとか。そういったことが書かれていないので、確認しておかないと俳優の皆さんが当日来て『あっ布団かけてないんだ…』とか、『私こんなに肌をはだけているんだ…』ということになってしまいます。なのでそういったところを全てピックアップして、監督に『これはどういう描写ですか』『どういう演出を考えていらっしゃるんですか』とお聞きして情報を集めて、今度は俳優の皆さんとひとりひとり面談をして、『このト書きはこういったことを検討されているのですがどうでしょう』と伝えます。ここで同意を得られたら撮影できる。そこで『全てできますよ』でしたら問題ないんですけれども、できないことがある場合は、じゃあどうしたらこのシーンを成立させられるかを皆さんと話し合います。ICなりの提案をしたり、最終的に撮影が問題なく進められるように準備をします。 ―ICとして特に大事にしていらっしゃることは何でしょうか? 「どうしても俳優を守る職業だと思われがちなんですけれども、私はやっぱりいい作品作りに貢献したいという気持ちで入っています。なので、監督のこういう描写にしたい、という思いをとても大事にしています。それに俳優さんが同意できるかできないかを時々で考えながらやっていくのが私の仕事だと思います。目標にしているのは皆で作り上げる良い作品。そのために自分が何をできるかということを、常に考えています」
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