中国共産党「百年の孤独」 「ヨーロッパ的普遍主義」から「普遍的普遍主義」への道
三つの分野を分離
「対中包囲網」とはいえ、経済関係はきわめて活発である。包囲網の中心であるアメリカも、また日本も、ヨーロッパ諸国も、中国との貿易額が減少する兆しはない。安全保障と次世代情報通信にかかわる機微な技術は別として、政治(軍事)と経済は別であるという考え方が、両陣営にあるようだ。そしてこれに文化を加えるべきというのが僕の考えである。 これまでとは異なり、現代の紛争はその様態が多様化している。全面的な軍事衝突は相互の被害が大きすぎるのでまず起こりにくい。冷戦時代と同様、局地戦、代理戦は考えられるが、現代はそれに加えてサイバー戦争、経済戦争、技術戦争、プロパガンダとしての文化戦争などが絡んでいる。とはいえ相手が中国となるとどの国も経済封鎖は難しく、加えて日本は中国との文化的な関係が歴史的に深い。むしろ政治(軍事)・経済・文化(人心)の三つを分離することを考えた方がいい。 諸葛亮孔明が劉備玄徳に提案した「天下三分の計」ではないが、長期化する「対中包囲時代」にはそういった長期的な戦略が必要だ。日本は、政治(軍事)は現在のところアメリカとの同盟を重視する、経済は全方位で活性化する、文化(人心)はグローバル化を進めつつ独自の道を行く、というのが僕の考えである。 残念ながら、今の日本には諸葛亮のような人物が見当たらない。