【40代・50代は知っておきたい】キッチンの壁掛け収納は、災害時に凶器となります
非常時の水のストックや防災食など、防災に取り組もうとすると「買わなきゃ」という物がどんどん出てくる。が、まずは家の中の家具や物の置き方を見直すことが大切。被害を少なくするために“今すぐできる”家の中の工夫について、災害に詳しい国際災害レスキューナースの辻直美さんに伺った。
落ちる・倒れる・動く・飛ぶ。大きな地震で物はこう動く!
「大きな地震で怖いのが、家具の下敷きになること。同時に、倒れた家具で通路やドアがふさがれてしまって逃げ遅れたり、散らばった家具や食器の破片でケガをするケースも多い」と、国際災害レスキューナースの辻直美さん。 「私は2018年に震度6弱の大阪府北部地震で被災しました。そのとき、住んでいたマンションの隣の部屋ではテレビからラックからすべてひっくり返って床に物が散らばり、背の高いタンスがベッドの上に倒れ込んでいました。食器棚から飛び出した食器は床に散乱し、キッチンには踏み入ることもできない状況でした。 一方で、家具の転倒や飛び出しなどへの対策をとっていた私の部屋は、キッチンに置いてあったびんが4本倒れただけ。同じ間取りでも、備えによって被害がこうも違ってくるのだということが明らかになりました」 地震が来たときに命を護り、できるだけ早く日常の生活に戻るには、家の中の物が壊れたり倒れたり、移動するということができるだけ少ないのが理想。 「大きな地震が起きると、家の中の物は4つの動きをします。『落ちる』『倒れる』『動く』『飛ぶ』の4つです。 『飛ぶ』にピンとこない人もいるかもしれませんが、大きな地震のときには腰から上にある物はほとんどすべて弧を描いて飛んできます。例えばキッチンの電子レンジ、ラックの上の電話機など、それなりに重さがあると思われる物でも、すごい勢いで飛びます。飛んだ先に人がいればイコール凶器になってしまうのです。 家の中をぐるっと360度見回してみてください。目線よりも上、目線と同じ高さ、それよりも下、全部です。地震が起きたときに4つの動きをしそうなものがないか、まずは見つけてみましょう」