「こ、怖かったです…」箱根駅伝“史上最激戦”4つ巴のシード権争い…トラブル連発でも東洋大「20年連続シード権獲得」“涙のアンカー”の本音
急遽、起用のルーキーたちも堅実な走り
酒井監督も今回走った1年生3名を讃える。 「3区の迎は復路でいく予定だったのですが往路で良く走りました。5区の宮崎(優)も良く最後まで粘りましたし、7区の内堀(勇)も本来は6区の控えだったのですが、梅崎の欠場で平地に回った。今回、彼らがどの区間でもラスト3kmで粘れたことがこの順位につながったと思います」 そして最後に待っていた薄氷が、10区の熾烈な「4つ巴」の争いだ。 東洋大は、冒頭にも登場した薄根が直後の帝京大と5秒差の8位で襷をもらい、酒井監督の指示もあって「1km2分50秒でやや速めに入った」(薄根)ものの、僅差だった順大、東京国際大に追いつかれ、5km地点からは4人の集団を形成。8位から11位までの集団で、1チームだけシード落ちをしてしまうという近年稀に見る大混戦の争いになった。 薄根が10区を振り返る。 「まず六郷橋のあたりで帝京の小林(咲冴、1年)くんが前に出て、離されたりもしていました。5キロ過ぎに他の2人に追いつかれてから、この集団でいくんだな、今日はそういう試合なんだな、と。ただこのあたりからこの4人の中で負けると19年連続のシード権が途切れるという怖さが出てきた。それに、いつもは10km過ぎから身体が楽になる感覚があるのでロングスパートで押し切ろりたかったんですけど、集団のペースの上げ下げもあったのでずっとキツくて。4人の中で僕が一番表情がきつそうだったと思います(苦笑)」 数々の修羅場を潜り抜けている帝京大・中野孝行監督でさえ、この10区の展開は初めての体験だったという。苦笑いをしながら、こう振り返る。 「自分は走っている選手じゃないのに、まさに“まな板の鯉”っていうかね(笑)。運営管理車にはAEDが積んであるんだけど、心拍数も上がってたし、いつ自分が使うことになるかって主務と話をしてたんだよ」 東洋大・酒井監督も運営管理車の中で肝を冷やしていた。 「いやー、ヒヤヒヤでしたよ。薄根はラストスパートがあるタイプではないので、本人も恐怖心はあったと思いますが、私も正直これはきついと思いました。嫌な展開になったな、と。あの4人の走りには各大学のシード権に対する執念みたいなものを感じました。途中、私の『どこかで仕掛けないとな』という声がけに帝京大の1年生が反応したりもして(笑)」
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