「こ、怖かったです…」箱根駅伝“史上最激戦”4つ巴のシード権争い…トラブル連発でも東洋大「20年連続シード権獲得」“涙のアンカー”の本音
流れを変えた4区・岸本の激走
そんな薄氷を踏むようなチーム状況の中で、酒井監督が今回の「殊勲賞」と語るのは、4区の岸本だ。16位で襷をもらうと、見事に7人抜き。区間3位の走りで流れを変えた。 「岸本には救われましたね。箱根駅伝全体のレベルが上がっていて、今は区間3番以内の快走をしないと順位を上げられませんから。岸本の強みですか? 本番に強いというか、合わせられるというか、大きな舞台で自分の走りをイメージできるタイプですね。もう練習とは全然走りが違いますから。練習では部内でも強くないですし、何せ遅刻魔ですから(苦笑)。遅刻魔がチームを救ってくれました」 昨年10区で区間賞を獲っている岸本。夏合宿中に話を聞くと「箱根では往路で勝負したい」と語っていたが、本人も「今年も中継にはほとんど映らなかったみたいですけど(笑)、個人としては90点くらいの走りができました」と語る。前回の10区、今季の全日本8区と単独走が続いたため、他大学の選手と競るのが今回初めてだったという。 「誰かと走るのがとにかく楽しかったですね。前にいる選手を全部抜くつもりだったので、駅伝をしているな、と。今までの自分の駅伝は振り返ると、結果的にいっつも“サンペー”(1キロ3分のペース)になってしまっていたんですが、今回は監督から『2分55秒で押していこう』と言われ、ほぼ実行できました。自分の殻を破ることができたと思います。同じ4区でも青学の太田(蒼生、4年)さんは強すぎで、僕なんか眼中に入ってなかったと思いますが、他の選手とは十分に勝負できたので自信になりました」 言葉に充実感を滲ませる岸本に「来年はエースだね」とけしかけると、少し慎重な口ぶりになり「そうなんですよね。そうならないといけませんよね」との返答。そして「でも、1年生も強いですからね。3区の迎なんか最初の10kmをほぼ自己ベストで突っ込んで襷を持ってきてくれたので、自分もやるしかないな、と思わせてくれました」とチーム内の収穫にも目を向けた。
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