宇宙飛行士・野口聡一さんが帰国会見(全文3完)オールJAXA、オールジャパンの勝利
IT化による新しい経験があれば教えて
司会:ありがとうございます。ちょっと時間が迫ってまいりましたので最後の質問とさせてください。よろしくお願いいたします。 野口:じゃあ神田さん、もう真打ちでばしっと最後に決めてください。 時事通信:時事通信の神田ですけれども、今、宇宙ステーションの運用から始まって、時間が掛かっていろいろ不具合も出てきたということなんですが、逆に運用が洗練されてとか、あと見てると10年前にはなかったタブレットとかスマートウオッチなんかも使ってIT化なんかも進んでいると思うんですけども、それによってすごく便利になったなとか、これはこの先の月探査とかにも使えるんじゃないかなとか、そういったなんか新しい経験がありましたら教えてください。 野口:ありがとうございます。そうですね、おっしゃるとおりで、ISSの悪口ばっかり言いましたけどそんなことではなくて、やはりこの運用を経て、「きぼう」ももう今、10年ぐらいたっていますので、運用を経ていろいろと、地上との連携という意味では洗練されてきている部分っていうのはあると思います。 1つの例っていうのは地上とのコミュニケーション。従来は圧倒的に言葉でのつながりですね、CAPCOMといわれる地上にいる通信担当係が地上からの指示をまとめて声で上げて、それをわれわれが声で返すというのが今でも基本的な通信手段ではありますけども、なんといっても地上でも電話で話すよりはチャットとかメッセージで伝わる部分っていうのが多いじゃないですか。それと似たようなことがやはり宇宙ステーションでも増えてきていて、今おっしゃられたようなスマートウオッチとかタブレット端末で、地上へのフィードバックとか地上からの指示っていうのがかなりダイレクトに、自分の手の中にある液晶端末とか液晶画面に出るっていうのが広まってきています。 将来的にはやはり月面とか火星のようにリアルタイムで声が届かないような場所での運用も想定して、自律的な運用に向けてさまざまな試みも始まっていますんで。そういう意味では地上に頼らずにいろんな作業ができるような、そういう時代がもうすぐ来るんじゃないかなと、そういう期待もすごくありました。ありがとうございます。