【全日本フィギュア】三宅咲綺がようやく見つけた自分らしいスケート 坂本花織や三原舞依との練習を励みに
「滑走屋」を通じて自分の練習不足を痛感
国民スポーツ大会が終わってすぐ、髙橋大輔さんがプロデュースするアイスショー「滑走屋」に出演した。振り入れから公演まで10日間というハードなスケジュールであったが、何より初めてアイスショーに出演することにとても高揚していた。みんなで一つの作品を作り上げる楽しさを知ると同時に、スケートの楽しさを思い出した瞬間でもあった。 この作品のために三宅も長い時間リンクに乗ってきたが、高橋さんや村元哉中(かな)さんなど、プロスケーターたちの練習を見て、自分の練習がいかに足りていないのかを痛感した。 「ここまで練習をしないと人前で披露できるものにならないのか」と身をもって知り、意識が変わっていった。 公演が終わってからは人が変わったように練習に励んだ。今までより密度を濃くし、納得がいくまで氷に乗り続けた。身体の疲労度は以前よりも増したが、ケアにも気を配り、身体の調子が悪い日もある程度コントロールできるようになってきた。
卒業後も競技続行「まだまだ進化していきたい」
今シーズンは好調を維持している。10月の中四国九州選手権で4連覇を達成。全日本の最終予選である西日本選手権では、ミスのない演技をする選手が続き、会場の雰囲気にのまれかけたが、「自分のできることをちゃんとやる」と鼓舞し、フリーでほぼミスのない演技を披露して初優勝。「自分に対して信頼ができた」大会となった。 この結果により、2025年1月の冬季ワールドユニバーシティゲームズの補欠選手に選ばれた。正選手になれず残念という気持ちがないわけではないが、今まで現実味がなかった国際大会派遣に一歩前進したと感じている。 12月20日に大阪府で開幕する全日本では、西日本で得た自信を糧に、「SPとフリーともにノーミスの演技で終え、強化選手に選んでもらいたい」と意気込む。来春に大学を卒業予定だが、「まだまだ進化していきたい」と、卒業後も競技を続ける予定だ。 今シーズンのSPは鈴木明子さん振り付けの「Think of Me」で、優しい曲を表現するが、三宅のダイナミックなジャンプや曲の盛り上がりでのステップにも見せ場がある。フリーは宮本賢二さん振り付けの「カプリース」。「滑走屋」を通じて曲を表現する楽しさを知り、また村元さんの演技に感動し、演じてみたいと思って選んだ。「カプリース」は「気まぐれ」という意味で、その名の通り曲調もコロコロと変わるが、その様子を身体全体で表現し、今までの三宅のイメージを一新させるようなプログラムにしたいと取り組んでいる。 中野コーチのもとには、坂本や三原舞依、籠谷歩未(神戸クラブ)など、年上の女子選手が日々練習に取り組み、励みになっている。身近に全日本に出場する選手の存在があることも大きい。 スケートを始めて紆余曲折(うよきょくせつ)はあったものの、ようやく自分らしいスケートを見つけ、試合に出るのが楽しいと思い始めている。大一番である全日本の舞台で、納得のいく演技をし、三宅の弾けるような笑顔が見られることを楽しみにしたい。
澤田亜紀