他責思考は本当に使えない?ビジネスシーンで環境変革をもたらす強み、自責思考との違いとは
周りの環境や人のせいにする人などと、ネガティブに捉えられがちな「他責思考」ですが、実際にはビジネスシーンにおいて必要な要素が多くあります。どんな考え方の特徴があり、自責思考とどうバランスを取ると強みを発揮できるものなのか、企業や組織における若手ビジネスパーソンの育成にも詳しい人事・採用コンサルタント曽和利光さんに聞きました。
他責思考の人って本当に無責任なの?
そもそも「他責思考」とは、どんな考え方を指しているのか。「自責思考」と合わせて解説していきましょう。何らかの出来事が生じたとき、その責任の所在がどこにあると考えるのかによって、「他責」か「自責」かが分かれます。 ◆他責思考の人は「当事者意識」が強い? 「自責思考」の人は「自分の責任だ」と感じますが、「他責思考」の人は周りの環境や他人の責任だと感じたり、あるいは「仕方ない」「誰のせいでもない」という無責思考でものごとを捉えたりします。 ビジネスシーンにおいては、何事も「自分に原因がある」「自分の責任だから自分で何とか解決しよう」と思う自責思考の人の方が、他責思考の人よりも、実は一緒に仕事をしやすいように思われるでしょう。 ただ、“責任”という言葉には2つの意味があります。その意味合いにより、「他責思考」「自責思考」の捉え方が変わってきます。 ◆他責思考の責任はどこにあるのか “責任”には、「原因の所在がどこにあるのか」に加えて、「解決の主体はどこにあるのか」という意味があります。「このミスは〇〇の責任です」といえば、原因の所在を指しますし、「〇〇は、このプロジェクトの管理責任者です」というと、解決の主体を指します。 以下2つの視点をマトリックスで考えていくと、「他責思考」と一言でいってもさまざまなパターンがあることがわかります。 ・原因の所在が自分にあるか、他人にあるか ・解決の主体が自分にあるか、他人にあるか もっとも無責任なのが、「原因の所在は自分にあるけれど、解決の主体は他人にある」という考え方です。この思考で仕事をされては、周りが大変な思いをするのは当然でしょう。 一方で、「原因の所在は他人にあるけれど、解決の主体は自分にある」というのも、責任を2つの意味で捉えれば、他責思考の一つです。 原因という点では当事者ではないけれど、自分が取り組むべき課題の主体者として取り組む。「高い当事者意識を持っている」という点で、周りと協業しながら仕事をする上で、高く評価される思考の持ち主と言えます。