「上司の一言がガツンと刺さった」マーケター1年目に学びたいコト
言われた通り僕はスタジオに行って、各社の掃除機をかけてみたんですが、 ・このヘッドの形は持ちやすいな ・階段でも使いやすいな ・充電が15分で切れたけど、15分あったら十分だな など、いろんな発見がありました。そこで気づいたのが、顧客を知り、価値を体感し、事業を理解するための行動ができていなかったということ。10年経った今でも「体験」に時間とお金を使うようにしていて、それがマーケターとしての土台になっています。 [辻本氏] 私たちのような消費財メーカーにとっても、現場はとても大切です。たとえばドラッグストアのお客さんを見ていると、弊社の商品を手に取って裏面を見たり、価格を見てスマホの電卓機能で計算する人もいる。どんな風に悩み、選んでいるのかという現場を見ることで、顧客の解像度はぐんと上がります。
1年目マーケターに伝えたいコト
後半のテーマは「1年目のマーケターに伝えたいこと」。マーケターとして活躍するための心構えとテクニックについて、3名がそれぞれ語った。 ■ 辻本氏:「周囲の出来事を読み解き、定式化しよう」 [辻本氏] 皆さんに伝えたい心構えの1つ目は、「受け身じゃダメ」だということ。上司からの依頼を打ち返すだけでは不十分です。
私が思うにマーケティングとは、新たな市場を作り、人の心を動かし、行動を喚起すること。世の中の出来事を観察しながら自分で問いを立て、行動しなければ、新たな市場は切り拓けません。 [辻本氏] そして2つ目は「温故知新の転用」です。私は、人間の本質は昔から変わらないと思っています。だからこそ、過去の事例からマーケティングの本質を掴み、現代風にアレンジすることが効果的なのです。 注意すべきは、「真似る」ではなく「学ぶ」という点だと辻本氏。一時、X(旧Twitter)で「どっち派? キャンペーン」が流行し、多くの企業アカウントが追随したが、それに適さない商材を無理に「どっち派?」のフォーマットに押し込んでいるケースでは、キャンペーンが盛り上がっていなかったという。 [富家氏] 「真似る」と「学ぶ」の違いは難しいですよね。真似にならないために意識した方がいいことはありますか? [辻本氏] これはテクニックの話にもつながるのですが、普段からいろんな企業さんのいろんな施策を読み解き、定式化することだと思います。 たとえば、若者に人気のアイドルが20年前に流行った曲を替え歌しながら商品の告知をしている施策があり、大きな反響を得ているとします。それをあなたが目の当たりにしたときに、「ああ、この施策っておもしろいね」で終わらせず、噛み砕くことがすごく大事なんです。 ・なんでこのアイドルなんだっけ? ・なんで20年前のこの曲を替え歌したんだっけ? ・この担当者って最終的に何を狙っているんだっけ? このように、自分なりに咀嚼をして定式化していく。すると、自分が今の会社でプロモーションの企画を考えるときに、転用ができるようになるのです。 ■ 村石氏:「組織貢献をしてから自己実現」 [村石氏] 心構えの1つ目は「目的ドリブン」です。私は目的に到達しないと、会社員として世の中に貢献できないと思っています。