シバターが皇治奇襲を予告も…真面目にRIZIN夢物語も語る
さて気になるのは、当日の入場時にサプライズ発表される対戦相手の「X」である。シバターは、筆者の書いた原稿を読んだのか、元K-1の“暴君”ピーター・アーツ(オランダ)が来日していることに触れ、「Xは誰なんだ?ピーター・アーツならボブ・サップ対曙以上のKO劇が見れるぞ。オレがハイキックで場外まで飛ばされるシーンが」と熱望した。しかし、すでに筆者がつかんでいる対戦相手「X」の正体は残念ながらアーツではない。 あなたが勝てるなら誰か?と質問すると「難しい質問だなあ」と悩みながらも「総合格闘技をあまりやったことないキック選手。あとは芸能人。総合の第一線でやっているプロが相手では、体重差があってもしんどい」と真剣に語った。 少しだけネタばれさせてもらうと、実は、その対戦相手「X」こそシバターが語った条件に当てはまる総合格闘技経験の少ないキックボクサーなのである。 現在、シバターの体重は「誰がくるかわからない。重い人が来る可能性もあるから減量はしていない」との理由で95キロ。その「X」の階級は、当然、シバターよりも下。格闘家としての実力はアマチュアに毛が生えたレベルだが、これだけの体重差があり総合ルールなら0.001%の可能性がないわけではない。 シバターは、YouTubeやパチンコ関係の本業の仕事を整理して練習に取り組んできたことを明かした。 「試合が決まったのが急だったので練習期間は短いが最大限やった。試合に勝つため、相手を倒すことを前提に試合を行う。アーツなら95%ぶっ倒されるだろうが、ただでやられるつもりはない。誰が相手でも勝つ」 立正大1年の頃から月謝を払って通い始めたシバターの格闘家としての原点である「パンクラスイズム横浜」の道場でトレーニングをしている。同ジムではRIZINでも好ファイトを見せている“キモ強”北岡悟がインストラクターを務めているが、「YouTubeでは負けキャラ、一発でやられる試合が多いが、それをやる必要はない。出るからには勝ちに行っていいからね」と言葉をかけられたという。 実際、朝倉兄弟、Kー1の安保瑠輝也とのMMA戦はいずれも秒殺で仕留められている。 実は、シバターにとってRIZINは夢舞台だった。この日、シバター劇場には似合わない数奇な運命について語るシリアスな激白もあった。 「真面目に言うと光栄に思っている。16、17歳で空手を始め、19歳でパンクラスで練習を始めた。今35歳。16年間、格闘技をやってきた。アマチュアの大会(THE OUTSIDER)に出て、勝ったり負けたりしながら段々と実力をつけた。でも、どこかの早い段階で、自分が(格闘界の)どこまで行けてどこまで行けないかの限界を感じた。当時のPRIDEやDREAMで戦うレベルにはなれないと身をもって感じて、夢をあきらめた。それがYouTubeで運よく有名になれて結果的に凄いと周り道をして、だいぶ変なルートだが変化球で、このRIZINの上がれることになった。中学1年から大学4年まで学生生活の10年間は、PRIDEで始まりPRIDEで終わる青春時代だった。あきらめて夢がひとつ叶った」 シバターは、世界王者アポロ・クリードが無名のロッキー・バルボアに「イタリアの種馬」という呼び名が面白いだけでチャンスを与えたシルベスター・スタローンの名作映画「ロッキー」の物語に自らを重ねた。 「私はYouTubeで成功しているので(ロッキーとは)境遇は違うが、思わぬ形で夢が叶った。おそらく、1回こっきりのチャンスにかける思いは強く持っている」