エムポックスの隔離終了を合理的に決めるモデルを開発 名古屋大など
世界的なガイドライン確立に貢献も
今回のシミュレーションで想定しているエムポックスウイルスは、2022年に流行ったクレードⅡb。現在、緊急事態宣言で想定しているのはクレードⅠbのウイルスで、致死率がクレードⅡbと比較して高いのではないかと懸念されているが、感染力や準備しているワクチンの効果はまだよく分かっていない。
今回開発したモデルで、クレードⅠbの隔離期間などについては検証するためのデータも不足しているが、岩見教授は「臨床・疫学データや経験則に基づいて国ごとに採用した隔離基準を検証し、数理モデルに基づいた世界的に求められる柔軟な隔離ガイドラインの確立に貢献できるかもしれない」としている。
研究は名古屋大学や九州大学、京都大学などが共同で、科学技術振興機構(JST)ムーンショット型研究開発事業と戦略的創造研究推進事業の支援で行い、8月26日付の英オンライン科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に掲載された。
長崎緑子/サイエンスポータル編集部