CLO(物流統括管理者)とはどんな役職? 荷主のほぼ5割が対象、2026年に選任義務化
「CLO=物流統括管理者か?」の議論を生んだ理由
「物流統括管理者とは、すなわちCLOなのか?」という議論を生んでしまった原因は、これまでの物流革新政策における表記のゆれ、あるいはあいまいな表現に原因がある。 ・2023年6月2日発表「物流革新に向けた政策パッケージ」(以下、政策パッケージ)では、「役員クラスに物流管理の責任者を配置することを義務づける」として、CLO選任義務化を示唆した。 ・2023年6月2日(政策パッケージと同日)発表「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)では、「物流業務の実施を統括管理する者(役員等)を専任」し、その役割を果たす者として、「物流管理統括者」と呼んだ。 つまり、「CLO=物流管理統括者」と読み取れるのだが、物効法で選任が義務付けられるのは、「物流統括管理者」であり、「管理」と「統括」の順番が入れ替わっている。 「わざわざ呼称を変えたのだから、『物流管理統括者(CLO)』と『物流統括管理者』は違うのだろう」という解釈が生じたのだ。 加えて新物効法における物流統括管理者は、「物流統括管理者は、特定荷主(あるいは「特定連鎖化事業者」)が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者をもって充てなければならない」とあるが、「役員を選任すべし」とまでは書かれていない。 この辺りの混乱を終息させるためだろうか、取りまとめ案では、かなり具体的にCLOの役割が定められている。
ポイント2:CLOの役割
「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの機運が高まるにつれ、CLOの必要性が訴えられるようになり始めた。 CLOとは、企業内において、物流の見地から企業の営利活動を最適化する責任を負う役員相当である。たとえばメーカーにおいて、どんなに素晴らしい商品を開発したとしても、それが運びにくい荷姿のものであったり、あるいは物流網が整備されていなかったりすると、十分な売上を得ることができない。 CLOは、物流のエキスパートとしての立場から、企業内の企画、製造、品質、販売(営業)といった各部門に対し、横串で必要な助言、提案、指導などを行う(図1)。 これにより、企業活動における売上・利益の拡大に加え、CSR(企業の社会的責任)、そしてCO2排出量削減などの環境問題にも貢献することが求められる。 日本ではCLOを設置している企業が少なく、またCLOに対する認知度も低かった。このことが、物流クライシスの原因の1つだと指摘され始めたこともあり、近年はCLOへの注目が高まりつつあった。 政府としては、CLO選任を義務化することによって、物流クライシス対策を促進しようともくろんでいるのだろう。