元ソープ嬢・紅子が語る、隠してきた過去をかくも赤裸々に語ろうと決めたのはなぜか?
■ 風俗嬢の写真を撮るようになった経緯 紅子:そして、ついに意を決して購入したのですが、やっぱり使い方が分からない。実際に写真を撮っても、クオリティがスマホとどう違うのか分からない。半年くらいカメラに触れない時間が続きました。 昔だったらそこで諦めていたところですが、時代に感謝というか、YouTubeに「一眼レフとスマホとの違い」「露出とは」「シャッタースピードとは」など解説動画がたくさんあって、そういう動画を見て勉強しました。学校で学んでいたら、ついていけなかったと思います。 ただ、40代後半の女がカメラをぶら下げて歩いているのがとても恥ずかしくて、しばらくは友達から「カメラ買ったんだね」なんて言われるたびに隠していました。 ──現役の風俗で働いている女性たちも写真集に出演しています。 紅子:1作目の写真集では、3人の現役の方々の写真を掲載しています。この写真集を作成する前から、私は彼女たちを知っていました。 風俗で働く女性たちはお店任せではなく、SNSに自分の写真を載せて集客します。だから、自分の写真を撮ってくれるカメラマンを探しているのですが、女性のカメラマンはあまり多くありません。そこで、私に声をかけてくださった女性がいました。 当時、私は風俗の仕事にまた戻ろうかと考えていた頃で、そのことをYouTubeで話したら、その方が「紅子さんは風俗に戻るのではなく、私たちを撮ってください」と言ってくれました。その方を撮ってから、「自分も撮ってほしい」と他からも声がかかるようになりました。 ──今はそういう撮影のお仕事もされているのですね。 紅子:そうですね。その中から、特にこの方に出演してほしいという方にお願いして、写真集に入れさせてもらいました。
■ 遊郭やソープランドで撮影したセルフポートレートも ──写真集にはご自身のセルフポートレートもあります。 紅子:2年前、声をかけてもらったギャラリーで開催した写真展初日が偶然にも、私の誕生日でした。ちょうど50歳ということもあり、自分自身の写真を1枚だけセルフポートレートとして展示しました。 そうしたら、その写真に注目してくださる方がたくさんいた。それから、少しずつ自分を撮っていく機会も増えたので、写真集にも入れました。 ──この写真はどこで撮影されたのですか? 紅子:昭和ラブホです。今度出す写真集では、遊郭やソープランドの中で撮影したセルフポートレートも入れました。 ──最近また閉店した店の写真集を出されたと聞きました。 紅子:『紅子の色街探訪記8 御徒町ソープランド ニュー桃山』という自作の写真集を出しました。こちらもカストリ書房で購入できます。60年の歴史に幕を下ろした「ニュー桃山」というソープランドの店内を3日間にわたって撮影した内容をまとめています。 2年前に、私はこの店の外観の写真を撮影しました。そうこうするうちにこの店が閉店したと知り、直後にSNSに「(ニュー桃山が)8月末で60年以上の歴史に幕を閉じたそうです」と書いて、写真を一緒にアップしたら、X(旧Twitter)で200万回以上見られ、こんなに反応があるものかと驚きました。 お店の店長から「桃山が後世に残るような写真を残してくれて本当にありがとうございます」というコメントをいただいたので、店長に「よろしければ中も撮らせていただけませんか?」とXでDMを送ったら快諾していただいて。 さっそく翌日に行ったら、閉店後5日目で中を片付けている途中でした。ゴミが積み上げられている状況で、「もっと早く来てくれれば良かったのに」と言われ、すごく嬉しかったです。