なぜ前日ハム“ノンテンダー”大田泰示は横浜DeNAを新天地に選び年俸半分以下からの再出発を決断したのか…背番号「0」の思い
松井秀喜さんの後継を託され、準永久欠番扱いとなっていた「55番」を1年目から背負った巨人時代は、プレッシャーもあって伸び悩んだ。横浜DeNAが大きな期待を寄せているのは、日本ハムに移籍した2017年以降で覚醒した大田となる。 広大な札幌ドームで4年続けて2桁本塁打をマーク。特に2019年には打率.289、20本塁打、77打点とすべてでキャリアハイを記録し、2020年には強肩を武器にリーグ2位の7捕殺をマーク。自身初のゴールデングラブ賞にも輝いた。 今シーズンこそ不振にあえいだものの、年齢的にも31歳とまだまだ若く、身長188cm体重93kgと大型ながら50mを6秒1で走破する脚力を含めて、十二分に戦力になると見込まれた。野球選手としての自分自身を、大田もこう表現する。 「足のスペシャリストではないですけど、僕の体で走れるからこそ魅力があると思うし、そこを疎かにしてしまうと魅力も半減してしまう。僕はただ単に野球が、ボールを打ち、投げ、捕るのが大好きなんです。これだけの大きな身体に両親が産んでくれたので、この身体を生かしながら躍動感のある、アグレッシブで泥臭いプレーを見せたい」 ただ、横浜DeNAの強力な外野陣に割り込むのは容易ではない。レフトは昨シーズンに首位打者を獲得したキャプテンの佐野恵太。センターは切り込み隊長として打率.310、14本塁打をマークし、守備範囲も広い桑原将志。ライトは来日後の2年間で48本塁打を放ち、今季は4番も任された大砲のタイラー・オースティンが不動だ。 「素晴らしい選手たちの間に割り込み、レギュラーを奪いにいくためにも、僕自身、甘い考えは持っていません。自分自身、もっと成長しなければいけない、野球選手としての価値を上げていくことに挑んでいかなければいけないと思っているので」 新天地にかける覚悟と決意は、入団会見の席で発表された背番号に色濃く反映されている。巨人時代に内野手同士として切磋琢磨したひとつ先輩で、今シーズン限りで引退した中井大介さんが背負っていた「0」にした理由を、大田はこう語っている。 「ファイターズに入ったときもそうでしたけど、今回も再スタートなのは間違いない。再び新たな気持ちで、過去の自分に甘んじることなく、ゼロからひとつずつ自分の番号にしながら、しっかりと前に進んでいきたいと思っています」