なぜ久保建英は東京五輪を前に「世界を驚かせたい」と語ったのか…その真意と可能性は?
昨シーズンは途中で期限付き移籍先を変えるなど、予期せぬ状況に直面しながらも積んできた武者修行の成果を久保はこう強調した。ヘタフェとの契約が6月末で満了し、現時点ではレアル・マドリードの所属となるが、新シーズンをそのままプレーするのか、あるいは他のクラブへ再び期限付き移籍するのかは決まっていない。 昨シーズン限りでジネディーヌ・ジダン監督が辞任し、イタリア出身のカルロ・アンチェロッティ監督が6年ぶりに復帰したレアル・マドリードが、最大で「3」枠しかないEU圏外枠をどのように行使するのかは現状で決まっていない。それでも久保は目の前の戦いで常に全力を尽くしていけば、おのずと未来は変えられると力を込めた。 「まだまだ始まったばかりだし、大事なのは最後をどう終わるかだと思うので。しっかりぶれることなく、まずは代表に集中して、それからのことは終わってから考えたい」 始まったばかりなのはサッカー人生であり、最後うんぬんは現役を終えたときにどのような数字を残しているのか、を踏まえた言葉となる。自らの将来像を「もやもやした表現で申し訳ないんですけど」と断りを入れながら、久保はこう言及したことがある。 「サッカー選手として大きな存在でありたい、というのがあります。たとえば久保選手を見てサッカーを始めました、と言ってもらえるような。より大きな影響を周囲に与えられるような、ひと言で表現すれば『すごい選手』になることが僕の目標でもあるので」 所属クラブと代表チームの両方で「すごい選手」になる道を久保が思い描くなかで、後者において3度目となる世界規模の国際大会が東京五輪となる。オーバーエイジ以外は24歳以下の選手たちが集う舞台へ、久保は「特にライバル意識はなく、誰々が来るから活躍しなきゃということもない」と自分自身へあえてプレッシャーをかける。 「自分に自信を持っていいプレーをしないといけない、という緊張感もあるし、自分がビビったらお終いだと思っているので。なので挑むという気持ちではなく、対等以上の気持ちでやっていければと思っています」 最初に臨んだ世界規模の国際大会が、2017年5月に韓国で開催されたFIFA・U-20ワールドカップだった。このときも飛び級で招集された久保は16歳になる直前で、所属クラブもFC東京ではなく、高校生年代のFC東京U-18だった。 ベスト16入りしたU-20代表で、海外組はGK山口瑠伊(当時ロリアン、現レクレアティーボ・ウエルバ)だけだった。いまでは韓国でともに戦ったDF板倉滉(マンチェスター・シティ)、DF中山雄太(ズヴォレ)、DF冨安健洋(ボローニャ)、MF三好康児(ロイヤル・アントワープ)、MF堂安律(PSVアイントホーフェン)が海外でプレーする。