なぜ久保建英は東京五輪を前に「世界を驚かせたい」と語ったのか…その真意と可能性は?
U-20ワールドカップ組以外でもDF橋岡大樹(シントトロイデン)、つい最近にもMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が海外移籍。そこへオーバーエイジ枠でDF吉田麻也(サンプドリア)、MF遠藤航(シュツットガルト)が加わり、DF酒井宏樹(浦和レッズ)も昨シーズンまで9年間ヨーロッパでプレーしている。 自身を加えた10人がヨーロッパ組という過去にない顔ぶれに、オンライン取材で「強豪国に近づいている実感があるのでは」と聞かれた久保は、スペインでのさまざまな経験を踏まえながら、ポジティブな意味合いを込めて否定している。 「個人的にはそこまで(強豪国に)近づいたと思っていないし、むしろ(成長の)スピードで言えば離されていると思うところもある。自分たちもそういう選手が増えてスタートラインに立っているのかなと思うけど、強豪国は何年も前に自分たちの状態を経験しているので、自分たちがいかにショートカットしていくかが大事になると思う」 久保が力を込めたショートカットのひとつがメダル獲り、つまりサッカー人生のマイルストーンのひとつである五輪で「いい意味で世界を驚かせる」になる。過去の最高位、1968年メキシコ大会の銅メダルを越える爪痕を残すことが、最高峰の戦いであるワールドカップを来秋に控えた日本に必要だと、A代表にも名を連ねる久保は訴えた。 21日のなでしこジャパンの試合で開ける東京五輪はほとんどの競技で無観客開催が決まった。スタンドがほぼ満員の観客で埋まっているヨーロッパ選手権(ユーロ2020)について「見ているとすごく楽しい」と言及した久保は、コロナ禍でプレーするサッカー選手の一人として、こんな思いもつけ加えている。 「サポーターの方々と一丸となって戦える喜びを、(ユーロに出ている)選手たちが感じていると画面上でもわかる。自分たちは大阪、兵庫の2試合は観客が入ると思うので、観客の方々に目の前でいいプレーを見せられるように心掛けたい」 まずはU-24ホンジュラス戦、そして東京五輪への総仕上げとなる17日のU-24スペイン代表戦(ノエビアスタジアム神戸)へすべてを集中させながら、世界を驚かせる準備が整ったU-24日本代表を、その中心を担う自分自身の姿を日本中のファン・サポーターに披露する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)