32歳の内田篤人はこれから何をする?引退セレモニーで「また会いましょう」とサポーターに伝えた言葉の真意
引退を決意したのは今月12日。敵地・IAIスタジアム日本平で行われた、清水エスパルスとのYBCルヴァンカップ・グループステージ最終節で先発し、後半24分までプレーしたなかで「鹿島の選手らしい振る舞いをできない」と判断した内田は、試合後に今シーズンいっぱいまで結んでいた契約を今月末で解除してほしいと強化部に申し出た。そして、すぐに夫人へ電話を入れている。 「僕の奥さんに関して言えば、小学校、中学校のときは僕が昼休みにサッカーをしているのを(校庭の)丸太の上でよく見ていました。プロになっても同じような顔で見守ってくれていましたけど、強化部と話した後に『辞めるから』という話をしたら『あぁ、そう』みたいな。遅かれ早かれ来る話だと思っていたらしく、じゃあ何をしようか、という話もしました。僕は貯金がいまいくらあるのかもわかっていない状態なので、奥さんはそのへんの心配を少ししていましたけど、まあ何とかなるでしょう」 2015年5月に入籍した夫人が実は小中学校時代の同級生であることを、内田は質疑応答の流れのなかで唐突に明らかにした。その上で、右ひざのケアを含めてサッカーに注いでいた時間がポッカリと空くこれからの日々で、真っ先にやりたいことを問われると迷うことなく即答している。 「子どもの幼稚園のお迎えです。コロナの状況もありますけど、これからは手を繋いで幼稚園の送り迎えができたら最高だなと思っています」 引退セレモニー後に内田とともに場内を一周した、アントラーズのユニフォーム姿だった長女は、内田によれば「サッカーがおしまいになって、僕と一緒に遊べると喜んでいた」という。シャルケの青いユニフォームを着せて自らが抱いていた次女、そして夫人と団らんの時間を過ごしながら、日本サッカーの歴史に名前を残した男はまもなく幕を開ける第2の人生へ向けて英気を養っていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)