32歳の内田篤人はこれから何をする?引退セレモニーで「また会いましょう」とサポーターに伝えた言葉の真意
アントラーズが2007シーズンから達成した前人未到のリーグ戦3連覇に貢献した内田は、2010年夏に移ったシャルケの右サイドバックとして、独ブンデスリーガ1部で104試合に出場。最高峰の舞台となるUEFAチャンピオンズリーグではベスト4へ進出し、日本代表としても国際Aマッチ74試合に出場した濃密すぎるほどの経験は、指導者を務める上でも大きなアドバンテージになる。 「指導者はすごく面白そうだと、興味がある仕事だと思っていますけど、やりたいと言ってできる仕事でもない。チームから『どうですか』と話があって、初めて動けることなのかなと思います」 前向きな姿勢を見せた内田だが、現時点までに具体的なアクションは起こしていない。Jリーガーの場合、日本サッカー協会が発行する公認指導者ライセンスをC級、B級、A級ジェネラルと順を追って取得して初めて、日本代表やJクラブで監督を務められる、最高位のS級取得へ挑める環境が整う。 例えば内田と同学年のDF槙野智章(浦和レッズ)は、新型コロナウイルスによる長期中断期間にEラーニングを介して、第2ステップにあたるB級のコーチ養成講習をスタートさせている。 「僕もいろいろ考えてはいるんですけど、何もやっていないです」 現状をこう明かした内田は、引退後の監督業を志す槙野に「インスタグラムばかりやっているので、そっちの方かと……」と苦笑しながら、ドイツでプレーしていたときも常に深い愛情を注ぎ続けてきたアントラーズで、将来的に指導者を務める意味を独自の視点でとらえていると打ち明けた。 「アントラーズの監督になりたいと言ってサインをしたら、それはクビになるカウントダウンだと思っています。そして、(クビになったら)二度とこのチームに戻って来られないんだろうな、と。僕が在籍しているときの監督を見ていると、そう思ってしまいます。監督にならなければ、スタッフにならなければ、ずっとこのチームに携わることができる。そのへんは難しいと感じています」 合計で7年あまり在籍したアントラーズだけでも、4人の監督のもとでプレーした。特に引退するまでの数週間は、今シーズンから指揮を執るブラジル人のザーゴ監督の一挙手一投足を注視した。 「監督とはこのように振る舞い、戦術を考え、練習を組み立てているんだと思っていました。ザーゴ監督にも言いましたけど、自分が早く辞めることで『もったいない』と思うのは、監督の傍らでもう勉強ができないことかなと思っています」